所長・源五右衛門(げんごゑもん)
昭和三十七(西暦一九六二)年葉月八日東京都保谷市に越後北魚沼郡広神村小平尾産の両親の下生を受け春秋の日々を埼玉県志木市に送り波乱(片腹痛し)の二十代を東京都八王子市日野市辺に過ごし今日埼玉県川越市大字古谷本郷の住人なり。
若年より宮沢賢治さの宇宙に遊びつつ桑原武夫先生巨人南方熊楠等の書に親近し彼々の博覧強記に瞠目しドクタア加藤周一の著すところに我が才の浅狭なるを嘆くも福沢諭吉翁の言に触れ市井の好事家たらんと欲す。然りといへども詮ずるところ鉄馬遠乗りを好む末法の一凡夫に過ぎざるか。
川越市文化財保護協会会員 川越古文書研究会会員 信長・友の会会員 ネットワーク民藝の会会員
昨年(平成7年11月)川越市に転居してまいりました。その後市内を散策(徘徊)するうちに、川越のたたずまいに何か引かれるものを感じました。それは「小江戸川越」と称される町並みの印象からだけではありません。目にみえない、川越の(ふつうの)生活者の時間の積み重ねともいうべきものが感じられるような気がするのです(すみません、このあたりをうまく表現できません、勉強します)。
川越市立博物館を訪ねました。市役所での用を足すついでにたまたま立ち寄ったのです。ところが...充実した展示物、整然かつ工夫された展示方法、職員の方の控えめな中にも親切な応対に私は従来抱いていた川越の印象を少なからず変更するにいたりました(まいりました)。過去に開催された企画展の図録を眺めているうちに(もっとはやくこの博物館を知っていたら...)と少々悔やむ気がしました。
図録「川越学事始め〜郷土史の系譜を追う〜」が目にとまりました。(かわごえがく?そういえば、桑原武夫先生のお仕事の中に「フランス学」があったな...)購入して読みました。これは平成7年3月に第8回企画展の成果をまとめたものです。
巻頭では館長の黒川五朗氏による「川越学」によせる大きな期待がうかがわせる一文があります。以下「郷土研究」の由来、日本各地における地誌の紹介、日本考古学の成立、明治期以降の郷土教育、川越周辺地域の郷土研究に大きな貢献をした私立川越図書館(現在の川越市立図書館の前身)と川越市立図書館の歴史、第二次大戦後の川越の郷土史研究の流れと今後の展望等々、大部になりそうな項目を豊富な図表を使用しながら、簡潔に手際よくまとめられています。
展示関係者各位のご苦労と働き甲斐を感じながら読み進むうちに、川越の郷土史研究は実に多くの先人の探求によって支えられていることを私の想像力をもってしても測ることができました。また「川越学」は広範囲の学問の成果が集約されることによって成り立つ、ということもおおむね理解できました。(「川越学」か。おもしろそうだな。)
もとより、私はただの物好き(しろうと)です。しかしながら歴史を通して人間の営みの移り変わりを眺めたり、少し考えたりすることに楽しみを覚えます。(「川越学」とつきあいたいな)漠然とそういったことを感じました。
ところで最近インターネットの普及が急速に進んでいます。インターネット上では世界中のコンピューターが通信回線を介してつながり、それぞれのコンピューターにある情報(文字・画像・各種情報機器を制御する信号等)を原則として自由にやりとりすることができます。つまり、少し大げさに聞こえるかもしれませんが、人類の知識や思考を共有することが可能になりつつあるのです(外国語の知識の不足を早急に補わなければ...)。
とはいってもそれはまだ始まったばかりですが。なにしろコンピューターはまだまだ発展途上にあり全ての人が簡単に扱えるとは言えません(もっとも、基本的な用途に限るならば、慣れてしまえばなんとかなるのですが...自動車の運転の方がより多くの技能を要求されると思います)。また、経済面においても社会基盤(安定した電力供給、整備された電気通信網等)の恵まれない地域の普及は遅れていて、新たに「経済格差」ならぬ「情報格差」が生まれつつあるとの指摘があります(この事態は来世紀には深刻な問題となるという見方があります)。
話題を戻します。私はインターネットを利用して様々な画像情報・文字情報に接しています。そこにはあらゆる分野のホームページが存在しています。そのうちに(そうだ、インターネットだ。ホームページを作ろう。そこが「川越学」とつきあう場になれば...)と思い立ちました。
しかしどのようにして具体化していくのか、模索中であります。とりあえず川越の歴史・文物・風俗等に関する情報、もしくはそれらを知る手がかりとなる「川越学」の先達とその研究の成果についての情報を集めたデータベースをつくり始めることにしました。
そしていつかここに「川越学」大通りができて、長年川越の歴史を研究されている方や社会科関係の先生方、川越っ子のみんな、「こっちは先祖代々江戸時代から川越だい」という方、そして私のような物好きまで、様々な人々が行き交い祭りの縁日のような雰囲気の中で「川越」について語り合うようになったら...一部でも外国語に翻訳して異国の人々に”カワゴエガク”を知ってもらうようになったら...
おっと、私の夢想癖には困ったものです。鬼がなんとやら、前置きはこれくらいにしてさあ、「川越学」於電脳網、始めましょうか。
(暗転。雑踏の中。川越祭りばやしが遠くから聞こえてくる。次第に大きくなる。)
ヱ〜、サアサ皆さんお立ち会い、ココが川越学大通り札の辻、エライ先生素人物好き門前の小僧と、川越学にチッタア縁ある衆は勢揃い、よってたかって蘊蓄含蓄小話小言に時の鐘、遠慮は要らぬ...
(川越祭りばやしが次第に小さくなり、静寂。)