東京反核医師の会 緊急声明

福島第一原発の放射性物質放出について

マスコミの正確な危険性報道を求め、
政府の迅速な情報収集・発表を要求する緊急声明

 2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震により、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、今も逼迫した避難生活を送られている被災者の皆様に心からお見舞い申し上げます。

 福島第一原発においては、2011年3月16日午前10時現在、当該4号炉の使用済み核燃料の過熱事故により、空気中への放射性物質の拡散は不可避となりました。

 放射性物質の漏洩の規模は予測できませんが、人体に危険なことは言うまでもありません。

 ところが、これまで、NHKをはじめすべての民放テレビによる放射能汚染の報道では、原電敷地外の汚染放射能レベルが、数十マイクロシーベルト以下であり、人体への危険性の低さを説明するために、その放射線量が「通常の胸部X線撮影による被曝量より低い」とたびたび解説しています。この説明は、一般市民に放射線量を理解させるのには便利ですが、その一方、重大な過誤を含んでいます。

 人体へのX線の影響は照射時に限定されますが、放射性物質が体内に取り込まれると、当該物質の周囲の細胞に長時間影響します。

 例えば、ヨード131は、甲状腺に特異的に取り込まれるので、のちに甲状腺がんなどの疾患を起こすことは確認されています。一方、通常のX線検査で、そのような結果が生ずることはありません。

 特に危険なのは、プルトニウムです。プルトニウムは、肺や骨に取り込まれ、一度摂取されると排出するのは極めて困難です。また半減期が長いので、摂取量によっては死に至る可能性があります。

 今回、事故原因の核燃料にはプルトニウムが含まれています。2010年9月に運転開始している<3号機>は、毒性の強いプルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)燃料を使うプルサーマル発電です。

 したがって、放射能の影響は被曝線量のみで判断されるべきではなく、被曝の状況、放射線源、放射線の種類などにより、正確に理解されるべきです。このことは、日本人が原爆被爆の実相を解明した経験で確立した原理であります。

 今回の放射性物質漏洩の危険性を、X線検査と比較することによって、その危険性を、テレビ報道視聴者に過小評価させるのは、重大な誤りだと考えます。

 日本の市民は賢明であり、正確な情報には冷静に対応すると、われわれは信じています。反対に、正確な危険性を理解しておれば、万が一重大な事態が発生してもパニックに陥ることなく、事前に賢明な対策を講ずるでありましょう。

 これまでのテレビ報道に深刻な反省を求め、放射性物質による大気汚染について、正確な知識を市民に提供することを求めます。

 また、日本政府にはより正確な原発の危険性を把握し、国民に対して迅速に広報いただくよう強く要望します。

2011年3月16日

 
核兵器廃絶・核戦争阻止 東京医師・歯科医師・医学者の会 
(東京反核医師の会)


代表委員

向山  新
渡辺 吉明
片倉 和彦



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