軍司令官による核兵器廃絶声明

各国中枢軍事専門家の注目すべき共同発言です。ご意見をおよせ下さい。 評価をもちよって検討してみようではありませんか。

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署名した各国の将軍、提督

カナダ デンマーク フランス ガーナ ギリシャ インド 日本 ヨルダン オランダ ノールウエイ パキスタン ポルトガル ロシア スリランカ タンザニア イギリス アメリカ
1996年12月5日

軍事専門家として、国家と国民の安全確保に一身を捧げてきた我々は、つぎのことを 確信する。すなわち、核兵器保有国の兵器庫に存在し続ける核兵器と、核兵器を他の 国が獲得しはしないかという恐怖こそが、地球上の平和と安全を脅かし, まさに我々が守ろうとしてきた国民の生存に対する脅威そのものであることを!

我々一人一人が果たしてきた任務と経験は、いろいろな国のさまざまな戦争や軍事に かかわっているけれども、おしなべて、現在の自国と国民の安全性ないし 非安全性について、特に詳しく、すぐれて専門的な知識を獲得する立場にあった。

広島および長崎以来、核兵器が使用されたことはないけれども、我々は核兵器が 人類の存在そのものに対する明確な、現実の脅威であることを認識した。冷戦時代には、 超大国でホロコーストが生ずる現実の危機が出現した。少なくとも一度は、文明が 消滅する瀬戸際に立たされた。そのような危険は現在はおさまっている。しかし、 核兵器が除去されなければ、この状態がいつまでも持続するとは言えない。

冷戦の終結は核非武装化に好ましい環境を作り出した。ソ連と合衆国との間で軍事対立 に終止符がうたれたことによって、戦略および戦術核兵器の削減と、中距離弾道弾の撤去が を可能になった。ベラルーシ、 カザフスタンおよびウクライナが核兵器を放棄したことは、核非武装化への重要な一里 塚である。

1995年の核拡散防止条約の無期限延長および1996年国連総会における包括的 核実験禁止条約の議決もまた、核兵器のない世界への貴重な一歩である。我々はこれら の成果をうみだした運動に賞賛をおしまない。

これらの前進があるにもかかわらず、真の核非武装化は達成されていない。核弾頭ではなく、 運搬手段だけが、将来破棄されることが条約の中身である。このままでは、合衆国およびロシアは 核弾頭を備蓄し続け、”復旧可能な核軍事力状態”が出来上がる。ところで、冷戦後の世界の 安全を考える時、誰もが抱く核兵器に対する恐怖は、到底抑えきれるものでなく、 予測しがたい種類のものである。したがって、我々は核兵器関連の事態について、普通の場合に通用する やりかたはこの世界に適用できないと考える。

次の事項が緊急に必要で、直ちにとりくまれるべきであると確信する。

合衆国とロシアは、STARTとして出発した削減を−軍事的な安全性を損ねることなく−進行させ るべきである:それぞれ1000から1500あるいはもっと少ない数まで弾頭を減らすべきである。その他 の三つの核保有国および三つの保有疑惑国にも参加させて、数百の弾頭数まで削減するようにさせる。 各国の国土防衛と核兵器廃絶への経過が矛盾することはありえない。

現在のところ、最終的に核兵器廃絶にまでいたる確かな条件と環境がどのようなものかを、予見し処方することは できない。一つ明確な必要条件は、核兵器材料の在庫を検出し管理することを含む、世界的な 査察、検査プログラムの存在である。この体制があれば、凶悪犯やテロリストがこっそり核兵器を 手に入れようとしても、それを未然に発見できる。秘匿された核兵器入手のこころみを 確実にタイミングよく摘発し中止させる国際的武力行動計画の合意が肝要である。

核兵器のない世界をきずくためには、世界のさまざまな地域に核禁止ゾーンを設定すること、 防衛線地帯の相互公開と信頼関係確立、兵器削減および非武装地帯に関する協定の厳格な遵守、 および核非武装化の経過における相互援助などが、すべて必要である。共同、協調、交流、交信 行動をともなう集団安全保障部隊の創設が、地域的安定、安全に必須である。

核兵器の存在およびその使用に対する恐怖が、戦争防止にどの程度役立つかは、−この年だけで 30の軍事衝突が生じているこの世界で−とうてい断定できない。しかし次のことは明らかである。 現在核兵器を保有している国々は、彼らの安全を確保する、より信頼性の高いより危険性のすくない 手段が出現するまでは、自分の核兵器を放棄しないであろう。したがってまた、現在のところ 核兵器武装勢力は、限定された時間割にしたがって核廃絶をする方式には合意しないにちがいない。

さらにつぎのこともまた明らかである。現在は核兵器を保有していない国でも、そのいくつかは、 安全保障手段が得られないのなら、核兵器開発の保有を永久に断念するものではないであろう。とくに、 現核兵器保有国がいつまでも核独占を続けようとするなら、核兵器獲得をもくろまないはずはない。

核兵器廃絶に向けての動きを進めるのには、核保有国、中国、フランス、ロシア、英国および合衆国;そして、 事実上の保有国、インド、イスラエル、パキスタン;および非核保有大国、ドイツおよび日本;が 主要な共同責任をおっている。すべての国々がそのおなじ目的に向かって歩調をそろえるべきである。

我々は、世界史上多分もっとも重要な課題をつきつけられている:核兵器のない世界の創出がその課題である。 冷戦構造の終焉はその可能性を生み出した。

核兵器拡散、テロリズム、新たな核兵器開発競争再開の危険があるからこそ、 核兵器のない世界が必要なのである。この好機を取り逃してはならない。他に選択の余地はない。

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(訳文文責渡植貞一郎)


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