Craig Rice

Favorite People vol.7

*Craig Riceは、私が大好きなミステリー作家で、このコーナー初めての、ミュ
ージシャンではない人の登場です。

「私の思ういい推理小説の条件」
*若干リアリティーのない設定であること:探偵、別荘、執事、毒薬、ピストル
などという存在が、今の私にはとても説得力にかける存在だし、殺人事件自体が
遠い世界の、本の中だけのものであって欲しいという理由。その方が色々とイメ
ージをふくらませながらのめり込んで読めるから。
*登場人物(容疑者)が多すぎないこと:あまりに登場人物が多いと、なんだか
途中で集中出来なくなってしまいませんか?
*推理の為に、何か特別な知識を必要としないこと。問題解決の為に必要な知識
の説明がちゃんとある場合はOK:例えば京極夏彦の京極堂シリーズ等。
*主人公格の探偵のキャラクターに独創性があること、物語の面白さだけでなく、
全体の雰囲気に味わいがあること。

*私が初めてミステリーというカテゴリーの小説を読んだのは大学生の頃だった
と思う。友人がアガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」を読んでい
て、それからしばらくして自分も読んでみた。その時は結構いい加減に飛ばし読
みしたので、読後の感想は「なんか、ようわからんなぁ」だった。推理小説の読
み方が全くわかってなかったのだ。それから、しばらくして同じクリスティーの
ポアロものを読み始めてからは、いつもの「どんどこ行ってしまう」癖が出て、
いつしかポアロものを読破、そしてマープルシリーズを読破。それから他の作家
の作品も読みたいと思い、ディクスン・カーなどから手始めに、エラリー・クィ
ーン、ヴァン・ダイン、ドロシー・セイヤーズなどを読み始めた。黄金期の正統
派Who dunnitもの(誰が殺したか?を推理するタイプ)を読んでいると、いつ
しか推理小説というのは、どこか暗い雰囲気がつきもので(人が殺されているの
だから当然だが)、そういうどことなく重厚な味わいのものがいいものなのだと
思ってた。

*Craig Riceとの出会いは比較的最近のことだけど、ミステリーファンとしての
私の、知らず知らず出来上がりつつあった固定観念を彼女は見事に打ち破ってく
れた。明るい、楽しい、スピード感がある、そして、私が感じている彼女の作品
の魅力を一言で言うと、'60年代のテクニカラーのハリウッド映画を見ているかの
様な気分にさせてくれる世界観かな?ごく普通の住宅街で起った事件を、現場の
隣家に住む推理小説家の母親とその子供たちとで推理していく「スィートホーム
殺人事件」と、ジェイクとヘレンのコンビシリーズが有名だが、私は隠れた名コ
ンビ:ビンゴとハンサムのシリーズが特に好きです。ジェイクとヘレンのシリー
ズは、本当に映画を見ているかの様な作品で、とにかくドタバタ。目の覚める様
な美女だけど、シカゴ1のスピード狂のヘレンのコスチュームが場面が変るごと
に毎回楽しみ。ストーリー展開は結構1パターンなところもあって、死体を見つ
けたと思ったら、必ずと言っていいほど次の瞬間にはその死体がどこかへ消えて
しまうという、吉本新喜劇の様に「わかっちゃいるんだけど」ってやつです。で
も、好きな人には、それが好きだったりするんだな。

*彼女の作品を多く翻訳している小泉喜美子さんが何かのあとがきで言っていた
けど、彼女は実は、あまり幸せとは言えない生い立ちなんだそうです。でも、そ
の体験を売りにすることなく、そういうところは微塵も感じさせないところが、
本当に立派だと思う。そして、色々なペンネームで書いた作品も結構あって、そ
れも是非読んでみたいと思っている。でも、既に故人。作品の数には限りがある
訳で、あまり一気には読まず、大切に少しずつ進めて行っています。

*ミステリーはどうも、おっかなくて、暗くって、嫌だな、という人は是非、彼
女の作品を読んでみてください。

*シリーズものになっているものは、シリーズの最初から順番に読むことをお薦
めします。

好きなの
「こびと殺人事件」
「セントラル・パーク事件」

CHAKA

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