ジンジャントロプスボイセイ主宰・中島 諒人氏インタビュー
 
 
 

今年のジンジャンは名作戯曲をやる!
こんにちわ。ジンジャントロプスボイセイという劇団の代表の中島です。『ジンジャントロプスボイセイってなんじゃそれ?』ってよく聞かれるのですが、アフリカのタンガニーカ湖で発見された最古の人類の名前です。ピテカントロプスボイセイとかそういうのの仲間です。1994年にできた団体です。いわゆる演劇とパフォーマンスの中間みたいな立ち位置で活動しています。美術やら音やら照明やら映像やら言葉やら動きやらによって空間全体を造形するっていうような方向性でやってます。
そんなジンジャンが今年は名作戯曲をやることにしてみました。そのあたりの気分を少しお話しします。

?どうして名作戯曲なの?
何年か前にパリに行ったときにロバート・ウィルソンがデュラスの『死の病』(朝日出版)をやっているのを見て、何しろ全部フランス語だからからっきしわからなかったけどおもしろくて、むーんこういう形でテキストを生かすという手もあるのだなあと思ったことに端を発しています。
 いわゆる戯曲の上演っていうと、大げさな演技とか、ぱっとしない衣装とか、なにやら日常を写し取ろうといっぱいいっぱいの舞台美術とか、ぼくとしてはいい印象があまりなくて、『それなら映画でいいよ』って思ったりすることの方が多かったのです。けれど『死の病』はテキストと身体・美術・照明・音が響き合って、美しく抽象的な舞台空間を作っておりました。

?具体的には何をやるの?どんな風にやるの?
そして私どもジンジャンも、去る3月に駒場の劇団スタジオでやってみました。演目はチェーホフの『カモメ』。基本的にはテキストに忠実にやりました。少し削除をして、ほんの少しだけ加筆しました。作家志望の青年の苦悩とか挫折が話の背骨で、登場人物がみんな、それぞれの現状に不満を持ち、勝手な焦燥と夢想に身をゆだねています。そんな気分をあらわすために、俳優に言葉をできるだけ速く話すようにという注文を出しました。(これが実はもう大変。長い台詞をだーっとしゃべるからもうほんとに集中力がいります。)それから日常臭い所作をできるだけカットして、動きの美しさを意図しました。あとは、空間が現実的に狭いので、登場人物が目を合わさないで話しをすることで、空間的な広がりを得ようとしました。これは同時に、コミュニケイトしているようで実はしていないという、登場人物の性格の表現でもありました。

?たいへんだったことは?
たくさんありますが、訳の言葉があんまりかっこよくないのは大きな問題でした。翻訳者はたいてお芝居好きの人で、そういう人の演劇観は概して古いもので、それを言葉が反映するので、あんまり大きな声じゃ言いずらいですが、もうちょっとかっこいい言葉にならないの?って思います。なので、今回は『カモメ』の英語版を使って、それを基にしながら訳を直していきました。英語だと、言葉に変な色を感じないで済むのがいいかなと思ってます。(少なくとも私の英語力では。)

?次は何をやるの?
秋くらいにシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』をやります。どんな風にやるかは決まってないのですが、若者の無鉄砲な恋愛というモチーフがぼくは昔から大好きで、そのスピード感を表したいなあと思ってます。どこか倉庫のような場所を借りて上演したいと思ってます。

?倉庫?倉庫でやるの?
まだ具体的ではないのですが、いわゆる劇場ではなく自分たちで自由に作り込める場所を使いたいと思ってます。もちろん劇場という機構=システムによって確保される自由もあるのですが、そして一方全く何もない場所は不便なことこの上ないのですが、それでもゼロから何もかもを自由にやれるのはほんとに楽しい。ワクワクします。(なんて言ってられるのは今のうちだけ?現場がたいへんなのは火を見るより明らか。)

?最後に?
ジンジャンのサイト見てください。私が作ってます。
http://www.apes.co.jp/zinjan/
です