分岐器の種類の説明

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問:_分岐器にはどのような種類がありますか

答:_分岐器にはまず一般的に在来線用の分岐器と、 新幹線用の分岐器があります。 在来線の普通の分岐器は鉄道の軌間により、762mm、1067mm、1372mm、1435mmなどありますが、 鉄道が国営であった時代には鉄道省「官房研究所」で設計されて来ました。 それが原形となって各鉄道事業者がそれぞれの分岐器を作っています
_このページでは主として全国の駅で目に付く在来線用の分岐器の説明をします。

_分岐器「レールの種類」により、 「60レール用分岐器」「50Nレール用分岐器」40Nレール用分岐器に統一されています。 また「旧型レール」の30、37、50レール用の分岐器がありました。 また在来線用の分岐器にも 「高速用分岐器」「上級線区用分岐器」「側線用分岐器」などがあります。

_従って、普通使われる分岐器をおおざっぱに分けると、その種類は、
_______「(1)60レール高速用分岐器」
_______「(2)60レール一般用」
_______「(3)50Nレール上級線区用分岐器」
_______「(4)50Nレール下級線区用分岐器」
_______「(5)50Nレール側線用分岐器」
に分かれます。


問:_レールの種類はどのようなものがありますか

答:_日本の鉄道の開業時には英国から 双頭レールが輸入された記録があり、交通博物館に展示してありますが、 平底のレールが米国で広まり、戦前の日本のレールは米国の技術により、30、 37レールASCE、50レールPSレールが用いられて来ました。
___ASCEは、(American Standard of Civil Engineering)で米国土木学会標準規格
___PSは (Pennsilvania railroad Standard) でペンシルバニア鉄道標準規格
ですが、その後昭和30年代に日本独自の性能のレールを制定することとなり、現在の Nレールが制定されました。この新レールをNレールと呼ぶ意味は、
___Newレール
___Nihon(日本)レール
___Normalレール
等の説があります。しかし、他に、S(Special rail:「分岐器用特殊レール」)レールがあるため、 論理的にはSpecial_railに対応するNormal_rail(普通レール)が正しいものと思われます。

_新幹線の開通した当初使用されたレールは、50T (Trunk_line:Tokaido)レールと呼ばれるレールで、新幹線仕様のレールでした。 しかし、新幹線の輸送が増えてレールの寿命が早くなり、そのため更に断面積の大きい丈夫な60レールが 設計されて使用され、このレールは現在在来線に普及しています。
_レールに使用されている数字は、単位長さ当たりの重量を指します。30、37、50レールは 1メートル当たりの重量で、
___30は1メートルあたり30Kg、
___50は1メートル当たり50Kgです。
但し端数は丸めてあります。
_ところで、レールの呼び名ですが、一般的には30kgレールと言うのですが、 種別としては30レール、37レールと呼んでいます。 同様に50kgPSレール、50kgNレールですが、種別としては50レール、50Nレールになります。

_また、分岐器に使用されている「トングレール」などに使用する 特殊レールとして、「分岐器用特殊レール」があります。


問:_片開き分岐器というのはどのようなものですか

答: _分岐器には敷設される 分岐器の線形により
_____片開き分岐器
_____両開き分岐器
_____<../kouzo02/ikouzo02.html#furi">「振分分岐器」
_____曲線用(内外方)分岐器
_____特殊分岐器
があります。

_分岐器の用語は明治時代からの外来語の翻訳と 明治時代からの慣例による用語が多いために難解なものがありますが、 片開き分岐器は基準線が直線の分岐器で、両開き分岐器は 基準線と分岐線の分岐角が等しい分岐器でシンメトリカル・ターンアウトと呼ばれているものです。 基準線というのは分岐器の中で重要な方向の線路を示す場合で、通常半径 の大きい側になります。基準線側が溶接継ぎ目で分岐線側に 絶縁継目が入るというような設計上の相違も出てきます。 定位と反位は分岐器の使用される状態で信号回路を常時分岐器の どちら側においておくかで決まります。分岐側が定位である 脱線ポイントもあります。

_片開き分岐器というのは、直線から左右いずれかの方向に分かれる分岐器で、 分かれる線路を分岐線といい、分岐線でない方の線路を 基準線といいます。分かれる角度は分岐角といいます 。ただし、分かれる線路の線形は当然曲線で分かれ、通常曲線には通過中に 遠心力の変化のない円曲線を使います。直線から左右に分かれる< font color="bbbbff">角度が等しい分岐器が両開分岐器です。 従って直線から左右に等しい円曲線で分かれるように見える分岐器が 両開き分岐器です。左右の角度が違う分岐器は 「 振分分岐器」です。直線から左右に違う曲線で分かれるように見えます。

_曲線中で左右に分かれる分岐器は曲線分岐器です。 左カーブ中で左に分かれる分岐器内方分岐器、 要するに円の内側という意味で、左カーブ中で 右に分かれる分岐器外方分岐器、要するに円の 外側という意味でです。右カーブ中では右に分かれるのが内方、左に分かれるの 外方分岐器です。
_特殊分岐器と言っているのは、線路が交差する ダイアモンドクロッシング交差個所で分かれる スリップスイッチ軌間の異なる 2本の線路の重なった部分の3線分岐器、直線から左右に分かれる 3枝分岐器、複分岐器などです。

_Nレール用分岐器が普及する前までは、材料の共通化を考えて直線ポイント が多用されていましたが、その場合両開分岐器を設計上の基本と考えて、 他の分岐器は両開き分岐器を捻った構造に設計していました。従って両開き分岐器 ではポイント先端が軌道の直角方向 に揃っていたのが、片開きでは捻った分だけ基準線が 前に出て食い違いを生じる設計となっていました。これは曲線ポイント でも同じ状態がでてきますが、「ポイント」の半径が異なると 共通化は難しいために、それぞれのポイントについて設計時に先端が直角方向に揃った 構造で設計されています。

_単線区間の島式ホームの駅では、列車交換の場合の 停車を考えると両開分岐器の方が双方の条件が同じになり好んで使用されてきました。 しかし優等列車の通過交換がある場合には優等列車の通過側を直線にして 速度制限を設けない方が、経営上・運転上 有利になる場合があります。このような場合には駅の両側の分岐器を 片開分岐器化することになりますが、ただしホーム内の 線路ではどちらかの方向の列車が逆線使用となりますので、 信号設備の考慮が必要となります。欧州では昼間の保守作業を考えて 単線並列方式の信号設備を備えた線路がありますが、日本では 踏切警報機の双方向対応など設備上の投資を考慮してまだ対応されてはいません。 新幹線の場合も同じで海外に日本の新幹線技術を普及させる場合に、日本と外国との 相違点の一つになっています。

_片開き分岐器の設計において「クロッシング」 の中に曲線をどこまで入れるかによりリード半径が異なります。 前後の線形を変えない範囲でクロッシングの中にリード曲線 を入れてリード半径を大きくして速度制限を緩和させようという 設計方法もあります。列車本数の多い通勤区間の線区や前に述べた 単線運転駅の分岐器などで通過時の速度制限 を緩和させるために利用されています。この場合さらに分岐線後部の線路の取り付けの出来る範囲で リード曲線付帯曲線とを一体化した 分岐器を設計すればさらに速度効果はでます。列車本数の過密な 通勤線区で、さらに列車本数を増やすために分岐器の通過時間で 列車間隔が制限されている状態を緩和したい場合に今後考慮できる方法でもあります。 このタイプの分岐器は、最初に東京の地下鉄で敷設された例があり、 その後鉄道事業者のニーズにより、各種の設計がなされて敷設されています。


問:_分岐器の番数というのはどのようなことですか

答:_分岐器はその分岐線の分岐する角度を 番数で決めていますが、日本では、両開き分岐器 を基準として設計するために、「クロッシング理論交点から 後端の開きの中心をみて、長さと開きの角度、クロッシング角(θ) により、

_______番数=1/2・cot(θ/2)

で表わされます。従って、分岐角度が緩いほど番数は大きくなり、通常の font color="bbbbff">分岐器では6番から20番程度までが使用されます。 分岐角度が緩いことは分岐線側の 曲線半径が大きくなることであり、 分岐側の制限速度は高くなります。

_因みに、日本で最も分岐側の速度が高い分岐器は、 上越新幹線と北陸新幹線を分岐させる分岐器で高崎駅の北側に設置されており、 分岐側の速度は160km/hで38番が 分岐器の番数となっています。この分岐器は北陸新幹線の高架橋の建設費の 経済性から敷設されましたが、さらに分岐側の速度が高い分岐器が必要な場合には分岐する 曲線半径を大きくする必要がありますが、高崎の分岐曲線には 複心曲線を用いています。番数が大きくなることは分岐器の設計としては問題はありませんが、 高番数の分岐器の問題点は部材が大きくなることであって、 長いトングレールの製作技術、大きいノーズ可動クロッシング の製作技術に問題があります。特に日本では大きい部材を現地まで搬入することが難しく、長いトングレールを製作するには 現地で溶接する必要があり、そのため高崎の場合には現地でトングレールの特殊断面を ガス圧接する技術が必要になりました。
_また、大きくなる「ノーズ可動クロッシング」のノーズレールをマンガン鋼で鋳造するには 水靱処理をするための巨大な水槽と水靱処理 後の歪取りに広大な設備が必要となりますから、 数本のレールを製作するだけですと巨額の製作費が必要になります。従ってマンガン鋼で 鋳造されたノーズレールも工場で溶接されて長大化させています。 なお、日本では昭和50年代の初めに製作会社において鋳造工場が改築される際に、 今回高崎に敷設されたような長大なノーズ可動クロッシングの製作の可能性を考えて、 水靱処理設備を拡大しておいた経緯があります。

_世界では、例えばフランス国鉄のように保線作業を実施するに必要な 単線運転をするための分岐器の場合には、速度制限 を出来るだけ少なくする必要があり、60番に匹敵する分岐器などが敷設されています。 フランスの場合にはクロッシングの角度を分岐番数の代わりに使用して表示していますので、 番数表示にはなっていません。

_ダイアモンドクロッシングでは、やはり番数表示をします。 シーサスクロッシングの中央に敷設される ダイアモンドクロッシングは4隅の 分岐角の倍になりますから、 8番シーサスでは4番のダイアモンドクロッシングが使用されます。ダイアモンドクロッシングの場合には 直角に交叉する場合があり菱形でもありませんから直角交叉になります。 現在は路面電車のような低速域での使用に限られましたが、以前は夜行列車が朝通過する場所に敷設してあった ダイアモンドクロッシングが、毎朝通過時の衝撃で寝台車のお客様を起こし、苦情が出たという話がありました。
_低番数の分岐器ではリード曲線半径が小さくなり速度の制限が出ます。 また規則で小半径の制限のある場合には、制限内で設計をすることとなりますが、 分岐器のリード曲線半径は通常曲線の外軌側の半径を表示していますので、 規則が線路中心線の半径で規制している場合には注意が必要です。


問:_日本には具体的にどのような分岐器があるのですが

答:_一般に使われている分岐器の種類は次のようなものです。

1.60レール高速用分岐器

2.60レール一般用分岐器
    (特徴)
  • ポイント部:「90Sレール製弾性ポイント」
  • クロッシング部:「マンガンクロッシング」
  • ガード部:「H形ガード」
  • 「レール傾斜敷設」
  • 「図面番号」:100#台_(例:T60片10―101)
  • 「標準設計番数」:片開き_8番、10番、12番、16番、20番
    ______:両開き_8番、10番、12番、16番、20番
    ______:振分け_8番、10番、12番、16番
    ______:内外方_10番、12番
    シングルスリップスイッチ_10番、12番
    ダブルスリップスイッチ__10番、12番
    シーサスクロッシング___8番、10番、12番、16番
    ダイアモンドクロッシング_8番、10番、12番
3.50Nレール上級線区用分岐器

    (特徴)
  • ポイント部:「70Sレール製曲線トングレール」
  • クロッシング部:「マンガンクロッシング」
  • ガード部:「C形ガード」
  • 「図面番号」:100#台_(例:T50N片10―101)
  • 「標準設計番数」:片開き_8番、10番、12番、16番、20番
    ______:両開き_8番、10番、12番、16番、20番
    ______:振分け_8番、10番、12番、16番
    ______:内外方_10番、12番
    ______:乗越__8番
    シングルスリップスイッチ_10番、12番
    ダブルスリップスイッチ__10番、12番
    シーサスクロッシング___8番、10番、12番、16番
    ダイアモンドクロッシング_8番、10番、12番
4.50Nレール下級線区用分岐器

5.50N側線用分岐器
    (特徴)
  • ポイント部:50N製直線トングレール
  • クロッシング部:組立クロッシング
  • ガード部:「C形ガード」
  • 「図面番号」:100#台_(例:T50N片10―102)
  • 「標準設計番数」:片開き_8番、10番、12番
    ______:両開き_8番、10番、12番
    ______:振分け_8番、10番、12番


問:_高速分岐器とは何でしょうか

答:_高速用分岐器というのは、直線側の速度に 制限のない分岐器のことで、
___分岐器内の継ぎ目を少なくする
___「ポイント部」スラックを小さくする
等の対策を取っています。
_これは、一般軌道のレールは、折損した場合に信号回路が 停止信号を現示することにより安全を確保していますが、一般の分岐器では構造上 「トングレール」と基本レールの双方を絶縁することが難しく、長年経験を重ねてレールに生ずる 応力を小さくしたり、継ぎ目を強化して衝撃を少なくしたり、 保守管理を厳重にしたりして安全を確保しています。
_単にポイント部の信号絶縁だけのことならば、今の技術でセラミック製のレールを製造するなどすれば 不可能ではありませんが、だからといってまだ鉄道の材料として安全が確認 されてはいません。今の材料は200年の歴史の中で一つ一つ改善を重ね、安全を確認しながら 実験や試験など経験に基づいて事故が起こらないことを確かめた結果、現在完全に安全が確保されているのです。

_ポイント部のスラックを少なくするのは、直線側の構造的な 通り狂いを少なくするためで、継ぎ目を少なくするのは分岐器内レールの 衝撃を少なくしてレール折損の機会をなくするためです。 このために、「弾性ポイント」を使用し、前後のレールと溶接が可能な、 「溶接クロッシング」等を使用しています。
_さらに、車両を高速で通過させるために考慮する必要があるのは、 クロッシング部の欠線部異線進入背面横圧の軽減です。ガードには車輪の背面を 誘導する部分でガードレールに車輪が当たるために大きな横圧力を生じます。 この値が大きくなるとガードを壊す恐れがあり、出来るだけガードに生じる横圧力を小さくする工夫が必要となり、そのためには、 ガードレールの誘導部の勾配を小さくするなどの対策を取った上、構造の強い ガードとする必要があります。
_構造上ガードの強度を強くするよう設計上の配慮をされたガードが 「H形ガード」で、新幹線と同じ構造のガードが 在来線の高速分岐器で採用されています。


問:_一般用分岐器とは何でしょうか

答:一般用分岐器というのは、直線側に 速度制限を設ける分岐器のことで、速度制限の理由は、 分岐器内は構造的な通り狂いがあり、また 継ぎ目が多いために車両走行による衝撃が起こる機会が多く、 且つ分岐器内は車両を別の軌道に移すためのトングレールがあって 絶縁が難しく、特に高速用の配慮のない普通の 分岐器では、長年の経験に基づいて走行速度を制限して衝撃を少なくし、 ボルトなどの強度も増し、一般の軌道よりも厳重な保守管理を行うことにより、安全を確保しています。

_また車両を別の軌道に移すためのトングレールは、転換させるために レールを固定するための締結ができない構造上の弱点を持っています。 レールを転換させるための継ぎ目構造は、強く固定出来ないために車両の通過の際の 衝撃力が大きくなります。このような材料も保守管理を厳重にして材料を交換するなどにより、 現在のように完全に列車の安全が確保されています。


問:_マンガンクロッシングとは何でしょうか

答:_一般用分岐器に使用されている font color="ff3333">マンガンクロッシングは、マンガンが11−14%も入った 特殊鋼を使用して鋳造したクロッシングで、 レール鋼の微細構造を顕微鏡で見ると、オーステナイト組織という、 一般レールのパーライト、またはベーナイトと異なる組織をしていて、 ガラスのような固溶体となっています。このため、 マンガン鋼は叩かれると加工硬化を起こして強くなり、 且つ折損が生じても亀裂の進展が遅いなど、 レール鋼としては理想的に近い性質を持っています。しかし、 鋳造のためレール鋼の中に ヒケスがあるなど鋳造特有の 欠陥があり、必ずしも万全ではありません。 しかし、クロッシングのようにレールの乗り移りのある部分で使用するには効果的なために、 鉄道の分岐器では好んで使用されています。

_マンガンクロッシングは、組立クロッシングの寿命を 著しく改善する手段として画期的なクロッシングでしたが、 それでも20年程前まではクロッシングの寿命は通過トン数として6000万トン程度でした。 しかし、真空方式の鋳造型枠の使用(Vプロ)表面仕上げの改善(マシニングセンター)等の新技術の採用の結果、 現在のマンガンクロッシングの寿命は3倍以上に延伸され、 圧接クロッシングの寿命と匹敵しています。 圧接クロッシングは前後レールとの溶接においては経費の点で マンガンクロッシングよりも有利ですが、偽フランジの車輪と 思われるウイングレールの座潰による上部の損傷があり、 マンガンクロッシングの材質的な強度が有利となっています。
_マンガンクロッシングの寿命を画期的に延伸する方法は、 爆薬等による爆烈強化法(EH法)で、クロッシングの 乗り移り部に少量の爆薬をのせて爆発させその圧力により 表面硬化させる方法で、米国で効果をあげた方法です。 しかし、米国の砂漠と違って日本では火薬の爆発音による 環境問題がつきまとい実用化に至りませんでしたが、 その後のマンガンクロッシング製造技術の向上により現在は EH法を実施したのと同等の寿命を得ているものと思われます。なお、V−プロを実施し、 表面加工したマンガンクロッシングは世界的に見て最高の品質で、 価格の点を除けば一番良いと米国鉄道界の評価を受けているようです。


問:_レール傾斜敷設とはどういうことでしょうか

答:レール傾斜敷設というのは、一般軌道で実施されている 車輪の踏面勾配を考慮してレールを1/40傾斜させて敷設することです。 分岐器部分では、トングレールがあったり、クロッシングがあって簡単に 傾斜敷設が出来ませんが、設計・製作時に1/40の 傾斜となるように全ての部材を考えて設計し傾斜敷設をします。傾斜敷設をすると、 分岐器に走入する車輪の車輪踏面がレール上面を走行する位置にズレが生じないために、車両の動揺が軽減され 分岐器の受ける衝撃が緩和されると いう点を考慮しているためです。
_一般軌道における傾斜方法はコンクリート枕木の上面にあらかじめ 1/40の傾斜を付けておくことで可能となります。明かり区間のスラブ軌道のように上面が平滑な場合には タイプレートに1/40の傾斜が付けられています。 日本の鉄道では新品車輪の踏面勾配は元々 1/20でしたが、使用時の踏面勾配は一定でなく、 最近は台車の曲線通過性能を高めるための工夫として円弧踏面の採用が進み、 実態として車輪の踏面勾配は様々なものが走行していると考えられますから、 1/40の一定勾配の傾斜敷設がどのような効果を持っているかは分かりませんが、 車両から受ける横方向の圧力は軌間外方に向かうものが主ですから、 レールの小返り防止を考えると幾らかでも 傾斜敷設する方が良いというように考えられます。


問:_図面番号とは何でしょうか

答: _図面番号は、旧官営鉄道時代に 「大臣官房研究所」第2部(軌道所管)の設計課で製作された図面に記載されていた番号を踏襲するもので、 日本の分岐器技術創世時代からの名称となっており、 全体図はT(turnout)、ポイント図は P(ポイント)などと分かりやすくなっています。 但し当初は床板等の部品は一体として全体図の中でかいていたため、 D図面は共通のものに限られていましたが、一時共通部品を D図面として統一したためにかえって分かりにくくなったという問題点も指摘され、 一部はもとに戻って図面が製作されて来ています。

_分岐器の図面番号は元々社内の規格に付随する性格のものですから、 これを統一する必要性はないために色々のものがあっても問題ないと考えられます。しかし鉄道事業は元々< font color="ff3333">地域に依存するものですから性能の良い軌道材料を1社独占してみても、 お客様の数が増えることには何らのメリットもないことが考えられ、むしろ全国に広まることで 開発経費の回収とその後のスケールメリット による製造原価の低下により経済的な資材購入が図れることが考えられ、新材料の 開発事業者が積極的に全国に広める努力が必要と思われます。


問:_上級線区とは何でしょうか

答: _上級線区と言っていたのは、旧国鉄では年間の 通過トン数が1500万トン以上の線区で1・2級線と呼称していました。 日本では年間通過トン数は多い区間でも4000―5000万トン位が一般的に上限ですが、このような区間で 列車本数の多い場合には1時間に20―30本もの列車本数があって 、昼間の保守作業は出来ない状態の線区がほとんどであり、 軌道の強度も線路の安全を確保するために強くしており、 分岐器においても強度の強い構造の分岐器を使用するようになっています。
_このような上級線区では原則的には「60レール用分岐器」が敷設されますが、 60レール敷設対象以外の線区では50Nレールが敷設され、 その場合には50Nレール上級線区用分岐器が敷設されます。 60レールが開発される前には東海道新幹線用の50Tレールが最強レールで、 在来線の上級線区では50Nレールが標準でした。しかし、新幹線若返り作戦時に 60レールが採用され、標準化の意味を含めて在来線の1・2級線では 60レールが敷設対象となりました。この敷設対象となった線区では 60レール用分岐器が採用され、60レール敷設区間以外の上級線区では50Nが標準的な分岐器でした。

_50N分岐器はNレールが採用された当初は当時使用されていた ウイットねじを用いた設計でしたが、JISから ウイットねじが外された1968年に軌道用品に ISOねじが採用されることとなり、このISOねじ採用の際に 改良設計が実施され、現用のNレール用分岐器が成立しました。
_Nレール用分岐器になった際の特長は、 曲線トングレールの採用でした。これは1959年に 分岐器の改良を目指して実施されていた試験的59形分岐器の成功に基づいて採用されたもので、 戦後の最強分岐器であった帽子型ポイント・マンガンクロッシング使用分岐器 「(帽マン分岐器)」の改良の延長線上にあるものです。 帽子形分岐器の帽子形レールはインゴット からレール材に圧延途中の形状の鋼材を使用したもので、当時の経済情勢ではトングレール用特殊レールの 圧延は困難であったための処置でしたが、戦後の復興期を経て日本の国力と鉄道の繁栄を背景に、 「トングレール用特殊レール」(Sレール)を圧延して使用できるようになり、 新幹線分岐器トングレール用特殊レールとして70Sレールが開発され、 下級線区で用いられる40Nレール用として50Sレールの製造が実施されることとなりました。


問:_70S曲線トングレールとは何でしょうか

答: _70S曲線トングレールとは、 N分岐器の採用の際分岐器の寿命を延ばすために、それまで問題のあった同種レールを 切削加工した直線トングレールを止めて 「分岐器用特殊レール」である70Sレールを切削加工した曲線トングレールで、 床板のファングボルト締結をねじくぎに改良すること、ポイント後端部のピボット構造や 滑節構造を寿命の長い関節構造に改良すること等を実施し、 当時としては旧型分岐器と比較して分岐器の保守上の問題は著しく改善されたトングレールです。

_70Sレールは分岐器用の特殊レールが採用されたとき、 新幹線用の50Tレールにも対応するように設計されていました。 後に60レール分岐器のトングレール用レールとして 90Sレールが採用された結果、70Sレールが新幹線の本線分岐器に使用されることは無くなりましたが、 Nレールを制定した当時の考えでは50以上のレールの分岐器に対応する特殊レールとしては 70Sによることが考えられていました。


問:_C形ガードとは何でしょうか

答: _C形ガードがあっても、 アルファベット順の番号でなければA形ガードがないことも考えられますが、 ガードに関しては設計順にアルファベットの記号が付けられておりA,B,Cの順になっています。 A形ガードは主レールと同種レールを曲げ加工したレールで、 日本の鉄道用のガードの原形であり、安全レール、橋上ガードレールなどと同様の製作法で良いのですが、 ガードレールは車輪の導入勾配による衝撃の発生があってボルト折損に至る恐れが生じたため、 工場加工でレールを切削加工して製作する方法が採用されB形、 C形ガードと改良されて「C形ガード」が一般用となりました。現在のNレール用分岐器では 基準線用のガードは円弧削りにより誘導部を形成していますが、 分岐側では直線削りにより加工しています。これは基準線側は必ずしもガードの誘導部から車輪が当たらないことを考慮し、 車輪の当たり量が少ない場合には誘導勾配を小さくすることを狙ったものです。


問:_下級線区とは何でしょうか

答: _下級線区と言っているのは、一般に 1500万トン以下の通トンの線区で、改良が進んでいない場合に 30、37分岐器が残っているような線区のことと思われます。当初このような線区では 40Nレール用分岐器の敷設が実施されました。この場合には 30、37レールと同等で工事経費の対象ではありませんでしたが、 40Nレールの敷設対象区間に50Nレールを敷設することは財産の増加と見なされて、 工事経費による50Nレールの敷設となっていました。 従って、このような線区の場合硬直化した経営施策のもとでは改善が進まなかった区間もあったことと思われます。 技術的には40Nレールは一般的に顎下半径が小さいことによるレールの 上首切れ損傷の恐れなどが指摘されており、50Nの 敷設はこのような点の改善として効果的であったと思われます。

_50N分岐器としては、「上級線区」と比較すると 組立クロッシングの使用のみが異なっていますが、これはマンガンクロッシング と比較して組立クロッシングの方が経済的であることによっています。組立クロッシングはクロッシングの原形であり、 ボルト締めであることからボルトの弛緩を原因とする衝撃の増加により< font color="ff3333">ノーズレール、ウイングレールの座潰が目立ち、上級線区における使用時には 大床板をリベット付けするなどの施策がとられた経緯がありますが、 上級線区ではマンガンクロッシングが相対的に経済的になった現在では、 組立クロッシングは下級線区用の経済的なクロッシングとして使用されることとなりました。

_鉄道の車輪踏面が摩耗すると、凹部 を生じて車輪外側にフランジ状の部分を生じ、これはフォルスフランジ、疑似輪縁、偽フランジ、凹摩 などと呼ばれていますが、レールを横断する部分のあるクロッシングの様に、車輪全体が レール上を通る可能性のある場合には様々な問題を引き起こします。 特に背向で走入する場合には偽フランジが クロッシング又部を引き裂くように走行しますので、昔の組立クロッシングでは さ尾填材という材料をつめて、偽フランジを上部に誘導する方策を取っていました。 またクロッシングのノーズレール保護のために盛り上げ加工しているウイングレールでは偽フランジ の乗り移りにより、乗り移り部付近のウイングレール上部が座潰する可能性があり、「圧接クロッシング」で 目立っているようです。一般に偽フランジが生じるのは車輪の回帰周期の 長い貨車によるケースが多く、貨車の車輪形状整正策はクロッシングの寿命に対して重要な方策です。


問:_側線用分岐器とはどういうことでしょうか

答: _側線用と断っているのは、本線用の高速分岐器 の性能までではありませんが、保守作業の軽減など多くの分岐器を擁する大駅構内に敷設した場合の効果を 狙って設計された分岐器のことという意味です。従って、「ポイント」については 8番用の4mのポイントと、10番、12番共用の5mのポイントだけの2種類となり、 片開き、両開き、振分分岐器に共通となるため、保守用の予備品の数を 縮減することができます。また、経済性の追及のため「トングレール」は基本レールと同種のレールを用いていて、 そのためレール底部の断面を確保するために、トングレールの高さは基本レールよりも 10mm高くなっています。

_トングレールを基本レールよりも高くすることは、トングレールの底部の弱点を少なくすることであって、 強度の面では効果を持っていますが、車両の通過の面では 必ずしも効果的ではありません。最近のように軽量の車両で高速走行を目的にして、 蛇行動の防止など高速域での性能を追及している車両は、このように 構造的で急激な水準狂いがあるポイントを通過するのに必要な 通過性能に欠けている場合があり、特に背向で ポイント通過の際に競り上がって脱線するケースが見られます。この防止のために車両性能の改善が 困難な場合にはポイントガードを設置して防ぐ方策を求めることが出来ます。

_直線ポイントは側線用に使われたことが最初ではなく、戦前の 側線用の分岐器のほとんどは直線ポイントを使用していましたので、 特に大型機関車など新しい形式の車両が出来た時には、 必ず8番分岐器の通過性能を調査してから使用された経緯があります。 電車形式の車両など特に高速を追及する車両が新形式となった現在では このような走行試験は行われませんが、 車両性能と分岐器の構造とは密接な関係があり、 車両を量産した後で、分岐器通過が困難な事が分かっても、 全ての分岐器を短期間に取り替えることは不可能ですから、 戦前に行われていたように事前の調査をしておく必要性が再び起きたものと思われます。

_新しい分岐器の設計に際して問題となる点は、 既設の分岐器との互換性であって、また 旧分岐器の個所に新分岐器を挿入する場合に前後の線形が一致するかどうか、 すなわちスケルトンに変更があるかどうかということであります。例えば、 60レール高速用の8番分岐はクロッシングが可動式 のため50N一般用の分岐器の後端と寸法が異なっていますから、従ってスケルトンの寸法が違うために 分岐器後端の曲線との取り付けが出来ない場合には、前後の線形を変更する必要があります。 特に側線では分岐器が複雑に敷設されている場合が多く、スケルトンに変更が起こる場合には 新しい分岐器を挿入出来ないケースが起こったりするので注意が必要です。現在の50N側線用 の分岐器は40Nとスケルトンを共通化させていますので、40Nの敷設個所においては挿入可能となっています。


問:_官房研究所とは何でしょうか

答: _官房研究所というのは、旧鉄道省の 大臣官房にあった鉄道の研究所のことで、後に国鉄になったときに鉄道技術研究所 とよばれました。 鉄道技術研究所には第1部、車両の研究、第2部、線路など施設の研究などに 分かれて鉄道技術に関する研究をしており、その第2部に設計係があって 分岐器の設計をしていました。
_その後新幹線の建設が始まって、国鉄における鉄道構造物の設計を専門に実施する部署が出来て、 日本国有鉄道構造物設計事務所となり、その中で分岐器の設計 が行なわれました。旧型の30,37,50PS用分岐器、Nレール用分岐器、新幹線用分岐器など、 日本の分岐器の原形は殆どがここで設計され、現在その関係の業務の一部は 鉄道総合技術研究所に引き継がれています。


問:_旧型レールとは何でしょうか

答: _日本の鉄道の開業時には英国から 双頭レールが輸入された記録があり、交通博物館に展示してありますが、 平底の「レール」が米国で広まり、戦前の日本のレールは米国の技術により、 30、37レールASCE、 50レールPSレール の仕様によるレールが用いられて来ました。これらのレールを現在主として使用されているNレールに対して 旧型レールといいます。
___ASCEは、(American Standard of Civil Engineering)で米国土木学会標準規格
___PSは (Pennsilvania railroad Standard) でペンシルバニア鉄道標準規格
ですが、その後昭和30年代に日本独自の性能のレールを制定することとなり、 現在のNレールが制定されました。
_なお、旧型の30レールには第1種のレールと称する フィート・ポンド法の寸法をメートル法に換算した10メートルレールがありました。


問:_90S弾性ポイントとは何でしょうか

答: _「60レール用分岐器」が制定されたときに、既に使用されていた 「溶接クロッシング」用の「特殊レール」 である90Sレールをトングレールとして切削加工して使用することとなり、 60レール用分岐器は主として高速運転が行なわれる上級線区に用いられるため、 衝撃も少なく保守も容易である「弾性ポイント」として設計されたポイントを 90S弾性ポイントと呼んでいます。
_90Sレールは溶接クロッシング用として開発されたレールでしたので、 溶接が容易になるようにのついた断面のレールでした。 しかしこの羽の部分はトングレール用としては不必要であったため、その後羽を取った断面のレールをトングレール用の特殊レール断面として制定し、 80Sレールと呼んでいます。従って現在は90S断面よりも経済的である 80S断面のトングレールを使用したポイント60レール用分岐器のポイントとして使用されています。

_60レール用のポイントは、新幹線で採用されたフランス式の 基本レールの顎下削りをして、トングレール先端の 頭部幅が狭い部分の断面を大きくして強くなるように配慮してあります。 したがってこの部分の断面形状が基本レールとの馴染みが 悪くなって先端部の摩耗が速いなどの欠点が指摘されていますのでまだ改良の余地が残っていますが、現在の分岐器用のポイントとしては 最強のポイントとなっています。
_日本では、「弾性ポイント」は長さが長くなって経済的ではないという観点から、 どちらかというと上級線区の高速区間で敷設するような高級な設計になっていますが、 東南アジアなどではポイント後端部の保守の困難さを回避する意味で、普通のポイントとして 経済的な設計の弾性ポイントが多数使用されており 一般的な構造となっています。日本では日本人の器用さで労力を厭わない線路の保守が伝統的であったと思われ、 ポイントなどでも材料の強度と経済性を 優先させた設計が伝統的になっていますが、今後は保守労力の経済性を合わせて 考慮するような設計思想もあるものと思われます。


問:_H形ガードとは何でしょうか

答: _日本の分岐器のガードには、 開発順に「A形ガード」 からアルファベット順の呼び名が付けられていますが、 新幹線用として強度の高いガードが開発され、このガードに H形ガードの名が付けられています。 H形ガードの特徴は主レールと間隔材で止める形式を 止めて床板に溶接されたガードレール支材に主レールと font color="bbbbff">同種レールを切削加工したガードレールを定着する形式のもので、 ガードレール支材とガードレールの間に調節板を挟むことで バックゲージを調整することが可能となっています。 「C型ガード」などの間隔材を使用する形式では間隔材と レールの間に調整板を挟むこととなり調整の容易さと間隔材の部分の固着性とを 両立させるのが難しい難点がありますが、このような間隔材を用いない形式によると 調整の難点は解消されます。
_米国式のガードのように、ガードレールの 腹部を外側から押さえる形式による支材のガードもありますが、 ガードレールの腹部を押さえる形式では腹部の曲率・寸法の 誤差を現場で合わせる方法はなく、 ガードレール支材の部分に若干の馴染みの悪さが残り、 ガード全体の強度を下げることになっており、そのことがワシントン・ニューヨーク・ボストン間の 北東回廊の高速区間に敷設してある分岐器を、高速で通過するときの 動揺の原因の一つとなっているようにも思われます。

_H形ガードも新幹線用として設計され、 その後在来線の輸送量の増大・高速化において在来線に 採用された構造形式の一つでありますが、 その他にも「弾性ポイント」やノーズ可動クロッシングなどもあります。 「ノーズ可動クロッシング」は新幹線の300km/h以上の走行においても 安全であることが確認されている強度の高いクロッシングですが、 高価なため経済性を追求する在来線においては、経済的なウイング可動形のクロッシングが考えられます。 ウイング可動形のクロッシングは米国において制定されていますが、 ウイングレールの締結、摩耗防止のために性能の良いガードが必要となるため、 米国のガードではその強度に欠けるためか敷設は進んでいません。日本ではH形ガードのように 強度の高いガードがあるため、拝み床板のような< font color="bbbbff">軌間保持方法と併用することにより可能性が高いものと思われます。


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アップデート:1998年7月03日
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