読売新聞

02/18 00:03 読: 検察審査会に遺族も申し立て可能に
読売新聞ニュース速報

 法務省は十七日、検察庁の不起訴処分の適否を審査する検察審査会に対し、被害者遺族も審査の申し立てができるよう現行法を改正する方針を決めた。事件・事故に見舞われた被害者側の権利を拡大するのが狙いで、検察審査会法改正案の年内提出を目指す。
 中村法相が同日の衆院予算委員会分科会で、細川律夫氏(民主)、保坂展人氏(社民)らの質問に答え、明らかにした。
 現在の検察審査会制度は、審査の申立権者について、「告訴・告発人または犯罪被害者本人」などと限定している。被害者が死亡した場合、不起訴処分の適否を審査するかどうかは検察審査会の裁量にゆだねられている。
 このため、東京・世田谷で小学生がトラックにはねられ死亡した九七年の「片山隼(しゅん)君事件」で検察の起訴の在り方が問われた際に、審査申立権の拡大を求める声が高まっていた。
 法務省は、申立権者に被害者の遺族や代理人の弁護士らも加えるよう法律を改める考えだ。
 検察審査会制度の見直しをめぐっては、法務省が今月初め、障害者は審査員になれないとする「欠格条項」を廃止する方針も打ち出しており、今春発足する内閣直属の「司法制度改革審議会」(仮称)でも検討テーマの一つになる。


02/15 12:01 読: 運転手が事実関係認め謝罪

読売新聞ニュース速報

 97年11月、東京都世田谷区で起きた片山隼君(当時8歳)の交通事故死事件の初公判で、運転手が大筋で事実関係を認め謝罪。 いったん不起訴となったが再捜査の末業務上過失致死罪で起訴。

[1999-02-15-12:01]


02/15 11:27 読: 隼君事件、運転手が初公判で謝罪

読売新聞ニュース速報

 東京都世田谷区で一九九七年十一月、小学二年生の片山隼(しゅん)君(当時八歳)が大型トラックにひかれて死亡した事故で、いったん不起訴処分とされたが、再捜査の末業務上過失致死罪で起訴された運転手・三田村正一被告(33)の初公判が十五日午前、東京地裁(植村立郎裁判長)で開かれた。三田村被告は罪状認否で、事故の事実関係は大筋で認めたものの、「どこで接触し、どこでひいたか分からなかった」と述べ、過失の有無については認否を留保した。
 同被告は冒頭、「運転していた車で片山隼君の尊い命が奪われたことは誠に申し訳なく、天国にいる隼君のごめい福をお祈りします」と謝罪した。
 隼君の父親、徒有(ただあり)さん(42)と母親、章代さん(38)は弁護士とともに傍聴席の最前列に座り、険しい表情で三田村被告を見つめていた。
 検察側の冒頭陳述によると、事故があったのは九七年十一月二十八日の朝。世田谷通りを歩行者用信号が青の点滅で渡り始めた隼君が、赤に変わったので引き返そうとしたところ、横断歩道をふさぐように止まっていた三田村被告のトラックが動き始めた。隼君は車道上を走って逃げようとしたが、接触されて転倒、左前輪と後輪でひかれた。
 検察側は冒陳で、「被告は同僚との無線交信に気を取られ、横断中の被害者の動静を直接見て確認したり、アンダーミラーで確認したりできたのに、全く被害者に気付かないまま、漫然と車両を発進させた」と指摘した。
 三田村被告は警視庁成城署に逮捕され、業務上過失致死と道路交通法違反(ひき逃げ)の疑いで東京地検に身柄送検されたが、嫌疑不十分で不起訴となった。隼君の両親は、不起訴の理由について納得のいく説明が得られなかったことから、翌年五月、東京第二検察審査会に審査を請求し、翌月には東京高検に処分に対する異議を申し立てた。
 両親の目撃者探しの努力が実り、対向車線で隼君が通りを渡ろうとしたところを見ていた運転手が名乗り出た。再捜査に乗り出した同地検は同年十一月、この新証言などから三田村被告を業務上過失致死罪で在宅のまま起訴し、ひき逃げ容疑については「事故に気づいていながら逃走したとは認められない」として、不起訴にした。

[1999-02-15-11:27]


11/27 21:42 読: 11月28日付・読売社説(2)

読売新聞ニュース速報

 ◇被害者を思いやる捜査機関に◇
 「隼(しゅん)君事件」で東京地検がトラックの運転手を在宅起訴した。不起訴処分から約一年もかかっての処分変更で、捜査当局には重い教訓が残った。
 東京・世田谷で小学二年の片山隼君がトラックにひかれて亡くなってから、今日でもう一年になる。運転手は昨年十二月、いったんは嫌疑不十分とされたが、この処分に疑問を持った両親が各方面に働きかけた結果、新たな目撃者が現れた。
 なぜもっと早く目撃者を見つけられなかったのか。現場検証、初動捜査は十分だったのか。警察、検察ともに厳しく反省しなければならない。
 死亡事故は年間約一万件、全国の路上で一時間弱に一人が命を落としている計算になる。処理する側に緊張感が欠けてきていないか。それぞれに重い命なんだということを一瞬たりとも忘れないでほしい。
 警察庁はこの事件を機に、全国の警察本部に「事故捜査指導官」を設置するなど交通事故捜査の徹底を図るよう指示した。集中的、組織的捜査で迅速な原因究明ができるよう態勢づくりを急ぐ必要がある。
 今回の事件では、両親の不服申し立てを受け、東京高検が再捜査を指示した。
両親は不服申し立てに先立って、検察審査会にも審査請求していたが、こちらはいまだに結論が出ていない。検察審査が実質的に機能するよう検討が必要だ。
 隼君のケースが問い掛けたものに、もう一つ、捜査機関の被害者への対応のあり方がある。両親が求める不起訴の理由を、検察が明らかにしなかったことに、激しい批判が巻き起こった。
 刑事訴訟法は告訴、告発人には処分内容や理由を知らせるよう義務付けているが、被害者やその遺族については、確かに定めがない。しかし、だからと言って事件の一方の当事者である被害者を無視していいということには決してならない。
 「隼は悪くない。裁判でそれを明らかにする道を閉ざすなら、せめてその理由を知りたい」。両親のそんなささやかな願いさえ拒むのは、あまりにも思いやりに欠けた対応と言わざるをえない。
 この事件の反省から、起訴、不起訴の処分結果や公判期日、裁判結果などを知らせる
「被害者等通知制度」を導入する地検が増えている。しかし、なお取り組みには濃淡があるようだ。厚く広い対応を全国の検察で早く実現させてほしい。
 被害者が最初に接する警察でも、事件事故の発生と同時に出動し、現場で被害者をケアする「被害者援助班」を設けるところが出ている。交通事故に限らず、これまでの被害者への対応を幅広く見直していこうという機運を歓迎したい。
 国連は八五年に「犯罪被害者に関する司法の基本原則宣言」を採択している。
訴訟情報の提供、医療面や精神的、社会的な援助の提供などが提言された。
 しかし、そんなことを持ち出すまでもない。被害者とともに泣き、怒る。それこそが原点であることを捜査機関が思い起こせば、被害者対策はおのずと進むはずだ。

[1998-11-27-21:42]


11/26 11:52 読: 「隼君事件」運転手を起訴

読売新聞ニュース速報

 東京都世田谷区で昨年十一月、小学二年生の片山隼(しゅん)君(当時八歳)が大型トラックにひかれて死亡した事故で、東京地検は二十六日午前、いったんは不起訴処分(嫌疑不十分)としたトラックの男性運転手(33)を業務上過失致死の罪で在宅のまま起訴した。隼君の両親から不服申し立てを受けた東京高検の指示で、同地検が再捜査した結果、新たに得られた目撃証言などから、運転手の過失を認めた。道路交通法違反(ひき逃げ)容疑については、運転手に事故の認識があったと認めるのは困難として、改めて不起訴処分(嫌疑不十分)とした。同地検では、当初の捜査が不十分だったことを認め、「これを反省の契機として、一層被害者の立場に配慮した検察権行使に努めたい」(斉田国太郎・次席検事)としている。
 この日、同地検から起訴の説明を受けた後、記者会見した隼君の両親の片山徒有(ただあり)さん(42)と章代さん(38)夫妻は、「隼が悪くなくとてもかわいそうだったことを地検が認めてくれた。そのことを、応援して下さった方々に報告できることがうれしい。本当にお世話になりました」と、時折言葉を詰まらせながら語った。
 その一方、道交法違反(ひき逃げ)容疑が改めて不起訴処分とされたことに、「事故直後に後を追いかけたスクーターもあったのに、地検が捜査を詰めてくれなかったのは残念」とも訴えた。
 この事故をめぐっては、片山さん夫妻の問い合わせに対し、同地検が当初、不起訴処分の理由を説明しなかったことから、被害者や遺族らに対する捜査結果などの開示問題が注目され、同地検は今年五月、「交通事件連絡室」を設置したほか、八月からは「被害者等通知制度」を導入した。
 こうした動きについて、章代さんは「被害者の立場に立ったいろいろなシステムができたけれど、形だけのものでないことを信じたい。二度とこのようなことが起きないように、皆でずっと考えていきたい」と、語った。
 片山さん夫妻は当初の不起訴処分に納得できず、直接トラックの運転手に会ったり、現場に立って目撃者を探したりした。また、街頭やインターネットを通じた署名活動も呼びかけて、二十一万人を超える署名を集め、東京第二検察審査会に提出している。
 警視庁成城署などの調べによると、隼君は昨年十一月二十八日朝、世田谷区砧の交差点付近を横断中、トラックの左後輪に巻き込まれて即死した。逮捕された運転手は「事故に気づかなかった」などと主張、同地検は十日間の拘置で運転手を釈放し、同年十二月、不起訴処分とした。
 その後、トラックの対向車線で横断歩道の手前に停車した車の中から事故を目撃していた新たな証人が現れた。同地検で再捜査した結果、〈1〉隼君は青信号で横断歩道を渡っていた〈2〉運転手は無線交信に気を取られ、発進する際に前方をよく見ていなかった――などの状況が明らかになった。このため、同地検は、運転手が横断歩道周辺の歩行者に支払うべき注意義務を怠ったなどとして、運転手の過失を認めた。

[1998-11-26-11:52]

読売新聞ニュース速報

 東京・世田谷で昨秋、小学2年の片山隼君がトラックにひかれ死亡した事故で、東京地検は男性運転手を業務上過失致死罪で起訴。 いったん不起訴処分としたが、両親の不服申し立てで再捜査。


読売新聞ニュース26日夕刊

 東京都世田谷区で昨年十一月、小学二年生の片山隼(しゅん)君(当時八歳)が大型トラックにひかれて死亡した事故で、東京地検は二十六日午前、いったんは不起訴処分(嫌疑不十分)としたトラックの男性運転手(33)を業務上過失致死の罪で在宅のまま起訴した。隼君の両親から不服申し立てを受けた東京高検の指示で、同地検が再捜査した結果、新たに得られた目撃証言などから、運転手の過失を認めた。道路交通法違反(ひき逃げ)容疑については、運転手に事故の認識があったと認めるのは困難として、改めて不起訴処分(嫌疑不十分)とした。同地検では、当初の捜査が不十分だったことを認め、「これを反省の契機として、一層被害者の立場に配慮した検察権行使に努めたい」(斉田国太郎・次席検事)としている。
 この日、同地検から起訴の説明を受けた後、記者会見した隼君の両親の片山徒有(ただあり)さん(42)と章代さん(38)夫妻は、「隼が悪くなくとてもかわいそうだったことを地検が認めてくれた。そのことを、応援して下さった方々に報告できることがうれしい。本当にお世話になりました」と、時折言葉を詰まらせながら語った その一方、道交法違反(ひき逃げ)容疑が改めて不起訴処分とされたことに、「事故直後に後を追いかけたスクーターもあったのに、地検が捜査を詰めてくれなかったのは残念」とも訴えた。
 この事故をめぐっては、片山さん夫妻の問い合わせに対し、同地検が当初、不起訴処分の理由を説明しなかったことから、被害者や遺族らに対する捜査結果などの開示問題が注目され、同地検は今年五月、「交通事件連絡室」を設置したほか、八月からは「被害者等通知制度」を導入した。
 こうした動きについて、章代さんは「被害者の立場に立ったいろいろなシステムができたけれど、形だけのものでないことを信じたい。二度とこのようなことが起きないように、皆でずっと考えていきたい」と、語った。
 片山さん夫妻は当初の不起訴処分に納得できず、直接トラックの運転手に会ったり、現場に立って目撃者を探したりした。また、街頭やインターネットを通じた署名活動も呼びかけて、二十一万人を超える署名を集め、東京第二検察審査会に提出している。
 警視庁成城署などの調べによると、隼君は昨年十一月二十八日朝、世田谷区砧の交差点付近を横断中、トラックの左後輪に巻き込まれて即死した。逮捕された運転手は「事故に気づかなかった」などと主張、同地検は十日間の拘置で運転手を釈放し、同年十二月、不起訴処分とした。
 その後、トラックの対向車線で横断歩道の手前に停車した車の中から事故を目撃していた新たな証人が現れた。同地検で再捜査した結果、〈1〉隼君は青信号で横断歩道を渡っていた〈2〉運転手は無線交信に気を取られ、発進する際に前方をよく見ていなか
った――などの状況が明らかになった。このため、同地検は、運転手が横断歩道周辺の歩行者に支払うべき注意義務を怠ったなどとして、運転手の過失を認めた。

読売新聞26日夕刊

 東京・世田谷で昨秋、小学2年の片山隼君がトラックにひかれ死亡した事故で、東京地検は男性運転手を業務上過失致死罪で起訴。 いったん不起訴処分としたが、両親の不服申し立てで再捜査。


小2男児死亡轢き逃げ事故 「運転手の不起訴は不当」 両親、審査申し立て
98.05.13 東京読売夕刊14頁 社会面(全1123字)

 東京都世田谷区で昨年十一月、小学二年生の片山隼(しゅん)君(当時八歳)がダンプカーにひかれて死亡した事件で、業務上過失致死の疑いなどで逮捕された運転手(32)を不起訴とした東京地検の処分は不当だとして、隼君の両親の片山徒有(ただあり)さん(41)、章代さん(37)が十三日、東京第二検察審査会に審査を申し立てた。両親は自宅近くの事故現場などの街頭やインターネットを通じて署名活動を行い、同日までに約二万人の署名が集まるなど全国的な支援の輪が広がっている。
 隼君は昨年十一月二十八日朝、自宅近くの交差点付近を横断中、ダンプカーにはねられて死亡した。ダンプは渋滞のため横断歩道をふさぐ形で交差点内で停車していたが、前方の車に続いて進んだ際、歩行者用信号機が青なのを見てダンプを避けて横断歩道を渡ろうとした隼君を左後輪で巻き込んだ。運転手はそのまま走り去ったが、約四十分後、現場から約二キロ離れた路上で業務上過失致死と道交法違反(轢き逃げ)の疑いで逮捕された。運転手は事故に気付かなかったと主張したという。
 運転手は同年十二月八日に釈放され、さらに十日後に不起訴(嫌疑不十分)となった。片山さんは今年一月二十三日、東京地検に運転手の処分を問い合わせたところ、不起訴だが、理由は「教える義務はない」と断られたという。理由の説明がなく納得できないことから、自ら探し出した目撃者の証言などをもとに同審査会への申し立てを決めた。
 交通事故をめぐる刑事処分では、ほとんどのケースで被害者の遺族に処分理由は説明されない。片山さんは「加害者を重罪にして欲しいというのではなく、納得できる不起訴の理由を教えて欲しいだけ」と話し、交通事故の被害者対策の在り方も問いたいとしている。
 片山さん夫婦は今月から署名活動を始め、市民団体なども支援。東京都町田市では「交通事故から子供を守る会・町田」(宇都宮節子代表)が、同市内の駅前などで署名を募った。また、「全国交通事故遺族の会」(井手渉会長)でも片山さんに署名を郵送。井手会長は「片山さんと同じ扱いを受けた遺族は多い。遺族にさえ情報を開示しない検察のやり方は不公正ではないか」と話している。
 ◆声詰まらせ両親会見
 申し立ての後、片山さん夫婦が記者会見し、母親の章代さんは「どう考えてもトラックが悪いと思うけど、不起訴だという。何をうかがっても検察の方は『答える義務はありません』というばかりなんです。大切な息子がいなくなったのに、悪い人はいないという。私には信じられない」と、声を詰まらせながら話した。 東京地検の斉田国太郎・次席検事の話「当庁としては、所要の捜査を遂げた上で処分を決したものと考えている」

被害者への検察処分通知 地検ごと対応に差 不信招く原因にも(解説)
98.05.14 東京読売朝刊15頁 解説面 写有(全1364字)
 交通事故で息子を失った両親が十三日、検察審査会に審査を申し立てた。背景には、ダンプカーの運転手が不起訴とされた理由を、検察庁に説明してもらえなかったという不信がある。社会部 南原 務
 東京都世田谷区の小学二年生だった片山隼(しゅん)君(当時八歳)は昨年十一月、渋滞で停車中のダンプカーが横断歩道をふさいでいたため、青信号で交差点の外側を迂回(うかい)して渡ろうとし、動き出したダンプカーにひかれ死亡した。運転手(32)は業務上過失致死の疑いなどで逮捕されたが、東京地検は十日間、拘置した後、運転手を釈放し、同年十二月十八日に不起訴処分(嫌疑不十分)とした。
 ◆「親なのに、なぜ」
 しかし、隼君の父親片山徒有(ただあり)さん(41)と母親章代さん(37)がその処分を知ったのは同地検に問い合わせた今年一月二十三日。両親は「どうして親に不起訴の理由を明らかにできないのか。(息子の死は)そんなに簡単な問題なのか」と憤る。
 刑事訴訟法は告訴・告発事件について、検察官が起訴、不起訴の処分結果を告訴・告発した当事者に通知することを義務付けているが、それ以外は片山さんのような場合でも捜査結果を知るすべはない。
 ただ、この問題に関して検察当局の問題意識も高まっているのは事実だ。八九年一月、全国検察長官会同の席上、当時の前田宏検事総長は、「新聞などで大きく報道された案件を不起訴にした場合や、内偵調査をしたが事件として取り上げることを得なかった場合に、その理由をほとんど説明しないことが、検察活動の分かりにくさを一層増大させている」と述べ、“開かれた検察”への方向性を示唆した。
 こうした流れの中、福岡地検は一九九一年、事件の被害者や目撃者などの捜査協力者に、被疑者の起訴・不起訴などの処分結果や公判期日などを通知する「被害者等通知制度」をスタートさせた。現在では、全国五十地検のうち二十一地検にこの制度が広がり、東京、大阪両地検でも導入を検討しているという。
 ただし、この制度の通知対象は、殺人や傷害、放火といった重大事件に限られていることが多く、制度も検事正通達などに基づいているため、地検によって対応が異なるという問題も残っているのが現状だろう。
 「前田発言」を受けて、法務・検察内部には「検察問題調査会」が設置された。今年一月からは「被害者の立場から見た検察権行使のあり方」をテーマとする分科会(座長・頃安健司・最高検総務部長)を設けて毎月一回、犯罪被害者への情報提供などについて協議を進めている。
 頃安部長は、今回の隼君事件も念頭に、「被害者の納得のいく検察という観点を大事にしなくてはならない。プライバシーの問題もあるが、不起訴にした場合でも、ケースによっては、できる範囲で、こういう理由で起訴できなかった、しなかったということを説明すべきではないかと考えている」と語る。
 検察内部の事務負担など解決しなければならない問題もあるだろうが、「情報開示」は社会の大きな流れだ。検察は、国民の信頼が得られるような制度の実現を急ぐ一方、現状でも検察官の裁量の範囲で、積極的に被害者らの求めに応じる姿勢が望まれる。
 


朝日新聞

05/09 19:49 朝: ◇弁護士、検事志望の東大ゼミ生が片山隼君の両親を訪ねる◇

朝日新聞ニュース速報

 東大教養課程の「法と社会と人権」ゼミの学生たちが、9日、片山隼(しゅん)君(当時8つ)の交通死亡事故について、東京都世
田谷区砧の事故現場で、両親から話を聞いた。
 同ゼミは過労死訴訟を多く手がけている川人博弁護士が講師を務めている。フィールドワークの一環として、「刑事と人権」グルー
プの男女18人が参加した。多くが、将来、検事や裁判官、弁護士を志望している。
 この事件では、検察の当初の不起訴の判断や、不起訴理由を尋ねた隼君の父・徒有(ただあり)さん(42)に説明を拒んだ対応が
問われた。隼君の母・章代さん(38)は「検察官を志すような人たちが、私たちの話しを聞きに来てくれて、本当にうれしい」と、
時に涙をこぼしながら、事件の経過で感じた疑問や家族の思いを語った。
 ゼミ生からの依頼に、両親が「まず現場を見て欲しい」と求めた。両親は、新聞記事や事故の見取り図の資料を配って、「見てもら
えばわかるけれど、狭い道路で逃げ場がない。書類を見るのと現場を見るのは違う」「交通事故だから仕方ないとか、こんなものだと
思い込まないで」「初め検事さんの常識にすごくズレを感じた。でもたくさん話すなかで、わかってもらえたこともある。耳を傾けて
下さるだけですごく救われる。私たちの声を聞いてくれる検事さんや弁護士さんになって」と訴えた。
 学生が「時間をかけて聞く、ということですか」と質問すると、章代さんは、時間をかけて聞いてやっているのにという態度の検察
官もいた、として、「時間より、心をかけて。どっちの言い分もある。被疑者だけでなく被害者もいることを忘れないで」と答えた。
 リクルート事件の捜査をみて検察にひかれたという2年生の上田興さん(21)は「検察は、被害者というより国を背負って仕事す
る。亡くなった命を元に戻すことはできないし、どんな判決を得ても、被害者が完全に満足することはありえない。そのなかで何がで
きるのか」と真剣な表情。1年生の見市香織さん(19)は「裁判も事件も、ひとが関係すること。加害者と被害者の気持ちを考えら
れる裁判官になりたい」と話した。


●朝日新聞の天声人語が交通事故の問題点について採り上げておりました.


2月2日 ◇天声人語◇
 きのうの続きを書く。交通事故でわが子を奪われた親たちに話を聞き、本の形で、交通行政や司法のあり方を問うてきたコーボーさん。いったん筆をおいた彼が、いま訴えたいことは何か。

 (1)〈交通事故統計のウソ〉。年間の死者が1万人を切ったといっても、それは事故発生から24時間以内に亡くなった数。警察庁は発生後30日以内の死者もまとめているが、マスメディアはほとんど報じない。かつては24時間以内に亡くなっていた人も、いまは集中治療室で延命される。私の娘も、事故3日後に脳死を宣告された。死者数は、報道よりずっと多い。

 (2)〈ずさんな実況見分調書〉。事故直後に警察がつくる調書は、刑事裁判、損害賠償などの基本となる重要書類。しかし、必ずしも事故の真実を伝えていない、と思われる調書が少なくない。多数の遺族が、大きな不満を抱く。交通警察は本当に優秀なのだろうか。

 (3)〈抑止力にならない軽い刑罰〉。不起訴が多く、起訴されても執行猶予付きの判決が目立つ。加害者のうち、実際に交通刑務所に行くのはごく少数ではないか。加害者がきちんと責任を問われない現実は、遺族に共通した怒りだ。

 (4)〈保険会社の問題点〉。気になる一つは「事故の場合、専門の社員が最後まで責任をもって示談交渉いたします」といった保険の広告。加害者は姿を見せなくてもいい仕掛けだ。自分が奪った命の値段を決める席にいて、遺族と悲嘆をわかちあう義務が、加害者にはある。

 (5)〈命の値段の男女格差〉。女性の命の値段は、男性の約6割でしかない。
――などと、どの項目も重い。「全国交通事故遺族の会」(連絡先・0474−92−1065)の集まりでも、深い思いを込め、繰り返し語られることだという。

 「娘の死に遭うまで、交通事故は私にとってひとごとだった」とコーボーさんは言った。



2月1日 ◇天声人語◇
 去年の冬、新聞社の先輩、コーボーさんのことを書いた。彼は10年前、次女みどりさんを交通事故で奪われた。3日後が結婚式の予定だった。棺(ひつぎ)の中のみどりさんは、ウエディングドレスに身を包んでいた。

 記者生活の残りと、退職してからの年月を、コーボーさんは車社会の無法を訴え、告発することに費やしてきた。交通事故の遺族を全国に訪ね、つぶさに話を聞き、その悲しみと怒りをくんで、交通行政や司法のあり方を問い続けた。記録はシリーズにまとめられている。佐藤光房(みつふさ)著『遺(のこ)された親たち』(パート1〜6・あすなろ社)である。

 1冊に5つの報告が収められている。取材した遺族は、だから6冊で30家族になるはずだが、実は29家族だ。パート1の一編に、コーボーさんは自身の悲痛な体験を記したからである。どの報告を読んでも、粛然とさせられる。この社会が、交通事故という犯罪にいかに鈍感になっているかを思い知らされる。

 毎年1冊ずつ刊行して、つい先日、最新のパート6が出た。ところが〈本巻で終刊〉とオビにある。そんなはずはない。コーボーさんはかねて「健康が許すなら、70歳でパート10まで」書くと言っていた。急いで連絡をとった。65歳の彼は、病に倒れていた。

 6の取材中は、胸がしじゅう苦しく、駅の階段をあえぎあえぎ、つえを手に上ったという。不安で、多万子(たまこ)夫人が付き添って旅した。病名は「慢性心不全と心房細動」。完成しないうちに心臓が止まってはと、万一の際の原稿のあれこれを夫人に指示していたそうだ。

 そのままだと余命1年といわれたらしいが、治療の効果があって、幸い現在は小康状態にある。交通事故の悪について、これほど細密、誠実に取材してきた人をほかに知らない。6冊を書き終え、いま考えることは何か。訪ねて、聞かせてもらった。この項続く。



12/09 21:00 朝: ◇交通事故問題を考える国会議員の会が発足◇


朝日新聞ニュース速報

 年間約一万人の交通事故死者を二〇一〇年までに五千人以下に半減させることを目標に掲げて、「交通事故問題を考える国会議員の会」が九日発足した。地検の対応が問われた片山隼(しゅん)君の事件などをきっかけに呼びかけられ、「九歳のときに父を交通事故で亡くした」下村博文衆院議員ら超党派の国会議員約三十人が設立総会に出席した。白川勝彦・元自治大臣を代表に選んだ。
 「交通事故をなくすためには、取り締まりだけではなく、道路構造改善や教育など省庁の枠を超えた広範な対応が必要だ」として、月一回程度の総会・勉強会を開き、実態調査や被害者対策充実に取り組む。
 呼びかけ人のひとり、秋葉忠利衆院議員は総会後に記者会見し、「我々はまず、被害者の経験をもっときちんと理解する必要がある」と話した。「情報開示を含め、被害者のためにどんな制度がつくれるのかを一つの焦点に、加害者にも被害者にも公正で公平な公開された手続きを考えたい」 総会には、片山隼君の父・徒有(ただあり)さんも出席。「隼が命をかけて訴えたのは、交通ルールを守っても事故にあう、という現実だ。しかし事故現場は信号機の位置も何も変わらず、車が横断歩道をふさいでいる。検察の考えは少し変わったようだが、求めていた事故の説明は公判までできないという。実質的な変化を求めたい」と訴えた。


[1998-12-09-21:00]

11/27 00:19 朝: ◇天声人語◇


朝日新聞ニュース速報

 新聞記者になって、初めて書いた記事は何か。大部分の記者は「交通事故」と答えるだろう。新人はたいてい警察取材を担当させられる、という事情もある。それだけ交通事故が多いということでもある▼ただし、多いことは、それに慣れることにも通じる。悲惨な事故に最初は驚き、悲しみ、怒り、考え込んでいたのに、取材を重ねるうちだんだん反応が鈍ってくる人もいる。警察の調べにのみ頼る姿勢になったりする。大けが程度では、必ずしも現場に駆けつけなくなる。我が身も省みて言うのだが、そうした例がある▼ニュースの定義はいろいろだけれど、「珍しい」もその一つ。自動車事故による最初の犠牲者が出たのは、いまから百二年前、イギリスでのことだったという。超が付く大事件だったに違いない。いまは、不幸なことに珍しくなくなった。新聞での扱いも、一般に大きいとはいえない。大都市などでは、死亡事故が掲載されないこともある▼「史上初」や「史上最高」も、珍しいという基準にあてはまる。一九七〇年、全国の交通事故による死者が一万六千七百六十五人、負傷者は九十八万千九十六人を数えた。いずれも史上最悪。しかも沖縄は復帰前だったから、この中に入っていな い。事故をなくせ、と訴えた記事が目立った。しかし、死傷者がいくぶんか減り始めると、勢いが弱くなった▼それやこれやを考えつつ、片山隼(しゅん)君の事件の経過を読んだ。東京地検はきのう、隼君をひいて死亡させたとしてトラック運転手を起訴した。当初は不起訴だったが、ご両親のねばり強い訴えを、二十万を超える支持の署名が後押しした。一人ひとりの「いのち」は、かけがえがない。当たり前のそのことを、あらためて胸に刻んだ▼毎日新聞は、こうした活動を支援して、共感を誘う記事を書き続けた。それも大いに力になったと思う




[1998-11-27-00:19]

11/27 00:22 朝: ◇隼君事件−鈍感さが生んだ悲劇◇


朝日新聞ニュース速報

 ちょうど一年前、東京で起きた小学二年生、片山隼(しゅん)君の交通死亡事故をめぐり、東京地検はいったん不起訴としていたトラック運転手に対する処分を取り消し、改めて業務上過失致死の罪で公判請求する手続きをとった。
 再捜査の結果、過失を裏づける新たな目撃証言が掘り起こされたという。最初の捜査が不十分だったことは、検察自身も認めざるを得なかった厳粛な事実である。
 「これを反省の契機として、被害者の立場に配慮した検察権の行使に努めたい」
 東京地検次席検事の談話は、捜査当局が受けた衝撃の深さをうかがわせる。
 両親の懸命な訴えやマスコミによる報道があったにせよ、この事件がなぜこれほど世間の関心を呼び、国会でも再三取り上げられたのか。捜査にかかわった関係者は真剣に考える必要がある。
 事故は次々と起きる。人手は足りない。休日返上で取り組んでも、汚職や大型の経済事件を担当する特捜部のように脚光を浴びるわけでもない。
 そんな環境のなかで、個々の事件処理が安易に流れるようなことはなかっただろうか。後任に迷惑をかけないため、転勤が近づくと処分を急ぐという話も聞く。
 そうした行動や発想からは、検察が体現すべき「被害者の視点」がすっぽりと抜け落ちてしまっている。不起訴にした理由の説明を求めた隼君の両親に対し、担当者が冷淡な対応に終始したというのも、そのような体質の表れといえるだろう。
 殺人など耳目を集める犯罪の解明はもちろん大切である。しかし、国民が検察に期待しているのは、身の回りの事件にも法律家として目を配り、裁判所に適正な処罰を求める地道な活動であるはずだ。
 今回の混乱は結果として、加害者である運転手にも酷な一年を強いることになった。信頼の回復は容易ではない。 法律はなぜ検察官に起訴権限を独占させ、起訴―不起訴の判断をその裁量にゆだねているのか。検察の仕事に携わる人びとはもう一度原点に立ち戻って、自らの職務のありようを見直してもらいたい

 事件は、交通事故に対する社会全体の感覚が鈍くなっている様子も映し出した。
 毎年、一万人以上が交通禍で命を落としているというのに、それを何とも思わない風潮が広がってはいないか。
 ひき逃げ事故の現場には、目撃情報を求める看板がいつまでも立つ。「交通事故にあったとでも思ってあきらめよう」という言葉が自然に語られる。東京地検の当初の取り組みに問題があったのも、こうした世の中の空気と無縁ではないだろう。 「交通事故の加害者に対する刑罰が軽すぎる」「裁判所も保険会社も、被害者を個性ある人間として扱っていない」 遺族からはそんな声も聞かれる。 ルールを破り、落ち度のない他人に重大な被害をもたらした者に相応の罰を科すのは当然である。あらかじめ定式化された「命の値段」に、残された者がやりきれなさを感じるのもうなずける。
 だれもが運転免許を取得する今日、いつ被害者になっても、また、加害者になっても不思議ではない。 隼君の死をきっかけに、「交通死」にかつてないほどの注目が集まっている。
 車をどう利用し、安全な街をいかにつくるか。捜査や裁判のあり方だけでなく、そこまで視野を広げて考えてみたい。



[1998-11-27-00:22]


11/26 13:22 朝: ◇片山隼君死亡事故で運転手を業務上過失致死罪で起訴◇


朝日新聞ニュース速報

 東京地検は26日午前、小学2年生をトラックでひいて死亡させたとして東京都八王子市の運転手(33)を業務上過失致死の罪で在宅のまま東京地裁に起訴した。運転手は同じ容疑で警視庁に逮捕された後、いったんは不起訴になったが、被害者の両親の申し立てなどを受けて同地検が再捜査を進めてきた。この日、同地検は当初の不起訴処分が誤りだったと認めた。検察側が被害者通知制度を全国各地に広める大きな要因になるなど、被害者と捜査当局の関係に一石を投じた事件は大きな節目を迎えた。
 事故直後に運転手が逮捕された際には道路交通法違反(ひき逃げ)の容疑も含まれており、この点についても再捜査の対象となったが、同地検は今回の処分に当たって改めて不起訴とした。運転手に事故を起こしたという認識があったと認めるのは証拠上難しいことなどから、犯意は立証できないと説明している。
 この事故をめぐっては、死亡した小学生の両親が今年5月、東京第二検察審査会に「不起訴はおかしい」として審査を請求した。その後、6月末には東京高検にも不服を申し立てた。
 起訴状などによると、この運転手は昨年11月28日朝、東京都世田谷区砧(きぬた)1丁目の交差点で、近くの設計業片山徒有(ただあり)さん(42)の次男で、小学2年生だった隼(しゅん)君(当時8つ)を、トラックでひいて死亡させたとされる。運転手は、横断歩道上の歩行者に注意する義務を怠り、無線交信に気を取られるなどして、注意を払わないまま車を進めた過失があったとしている。
 今回、東京地検が起訴の根拠としたのは、不起訴処分のあとに得た新たな目撃証言だった。この証言や他の証拠を総合し、事故直前の被害者や運転手の行動が明らかになったという。その結果、隼君は青信号だった横断歩道を渡る途中だったのに、横断歩道上にはみ出すように停車していた運転手がその姿に気付かずに、隼君を追いかけるようにしてひいた――と判断した。
 事故発生の直後に得られた別の目撃証言では、隼君がひかれたのは横断歩道から約7メートル離れた地点だった。また、横断歩道の信号が青だったかどうか、ひかれる直前の隼君の動きはどうだったのかという点については、この証人は見ていないなどのあいまいな側面があった。
 地検の再捜査は、この2つの証言を比較検討することが中心となった。1年前に起きた事故で目撃者の記憶が薄れたため、それぞれの証言の裏付け作業に時間がかかったが、警視庁と連携を取りながら捜査が進められた。



朝日新聞ニュース速報

 東京地検は26日午前、小学2年生をトラックでひいて死亡させたとして東京都八王子市の運転手(33)を業務上過失致死の罪で在宅のまま東京地裁に起訴した。運転手は同じ容疑で警視庁に逮捕されながら、いったんは不起訴になったが、被害者の両親の申し立てなどを受けて同地検が再捜査を進めてきた。検察側が被害者通知制度を全国各地に広める大きな要因になるなど、被害者と捜査当局の関係に一石を投じた事件は大きな節目を迎えた。
 この事故をめぐっては、隼君の両親が今年5月、東京第二検察審査会に「不起訴はおかしい」として審査を請求した。その後、6月末には東京高検にも不服を申し立てていた。
 これまでの調べによると、この運転手は昨年11月28日朝、世田谷区の設計業片山徒有(ただあり)さん(42)の次男で、小学2年生だった隼(しゅん)君(当時8つ)を、トラックでひいて死亡させたとされる。隼君は自宅から学校へ通学する途中にある自宅近くの交差点付近を横断中だった。
 今回、東京地検が起訴の根拠としたのは、不起訴処分のあとに得た新たな目撃証言だった。この証言に基づき、隼君は青信号だった横断歩道を渡る途中だったのに、横断歩道上にはみ出すように停車していた運転手がその姿に気付かずに、隼君を追いかけるようにしてひいた――と判断した。
 事故発生の直後にあった別の目撃証言では、隼君がひかれたのは横断歩道から約7メートル離れた地点だった。また、横断歩道の信号が青だったかどうか、ひかれる直前の隼君の動きはどうだったのかという点については、この証人は見ていないなどのあいまいな側面があった。
 地検の再捜査は、この2つの証言を比較検討することが中心となった。警視庁と連携を取りながら、慎重に捜査が進められた。1年前に起きた事故で目撃者の記憶が薄れたため、それぞれの証言の裏付け作業に時間がかかったとされる。事故直後に運転手が逮捕された際は道路交通法違反(ひき逃げ)の容疑も含まれていたが、この点については刑事責任を問うことができないという結論になった。 この日、隼君の両親は、東京地検に出向き、交通部の担当検事らから起訴したことについての説明を受けた。
 東京地検の斉田国太郎次席検事の話 捜査が不十分であって先の不起訴処分は誤りだったと言わざるをえない。これを反省の契機として一層被害者の立場に配慮した検察権の行使に努めたい。



交通事故で子失った両親、不起訴不当訴え 検察審査会に
98.05.13 夕刊 15頁 1社 写図無 (全519字)

 息子を交通事故で失った東京都世田谷区の設計業者片山徒有(ただあり)さん(四一)、章代さん(三七)夫妻が十三日、加害者の運転手が不起訴処分になったのはおかしいとする申し立てを東京第二検察審査会に提出した。徒有さんは「こうした事故はたくさんある。事故の悲惨さだけでなく、不起訴になっても被害者にはその説明をしてくれない実態も訴えたい」と話している。両親の行動に賛同する署名は、同日までの九日間で二万件を超えており、資料として添えるという。
 警視庁の調べによると、この事故では、片山さん夫妻の次男で小学校二年生だった隼(しゅん)君(当時八つ)が昨年十一月、自宅近くの交差点を横断中にトラックにひかれて死亡した。このトラックの運転手(三二)は間もなく業務上過失致死と道路交通法違反(轢き逃げ)の疑いで逮捕され、東京地検に送検されたが、その後、釈放されて十二月に不起訴処分となった。
 片山さん夫妻の申し立てによると、(1)多数の目撃者から事情聴取もしているのに、過失の認定ができないのは考えられない(2)事故の実況見分調書を見ると、運転手も事故の責任を認めている(3)職業運転手として責任は重い――などの理由をあげ、不起訴の不当性を主張している。


産業経済新聞



「不起訴処分は不当」申し立て 交通事故被害者の両親
98.05.13 夕刊 11頁1段ベタ (全623字)

 東京都世田谷区砧の交差点で昨年十一月、同区立砧小二年の片山隼(しゅん)君=当時(八つ)=がダンプカーにはねられて死亡した事故で、隼君の両親の片山徒有(ただあり)さん(四一)と章代さん(三七)は十三日午前、東京地検がダンプカーの運転手(三二)を不起訴処分にしたのは不当として、東京第二検察審査会に審査の申し立てを行った。
 申立書で両親は、運転手について「日常からダンプカーの運転などの業務に従事しており、職業運転手として通常の人と比べ大きな注意義務が課されている」と指摘。その上で、「歩行者や対面信号を全く見ておらず、過失が重大で情状も悪い」として、不起訴処分は不当と主張している。
 隼君は昨年十一月二十八日午前七時五十分ごろ、自宅近くの交差点の横断歩道を青信号で横断中、ダンプカーにひかれて即死。運転手は約二キロ離れた路上で、業務上過失致死と道交法違反(轢き逃げ)の現行犯で逮捕され、東京地検に送検された。しかし、運転手は「ひいたという認識がなかった」として轢き逃げについて否認、結局、嫌疑不十分で不起訴となった。
 検察審査会が「不起訴不当」か「起訴相当」の議決を行った場合には東京地検で再捜査することになるが、議決自体に法的拘束力はない。
 東京地検の斉田国太郎次席検事の話 「当庁としては、所要の捜査を遂げた上で処分を決したものと考えている。遺族の方の申し立てに基づいて、検察審査会が審議を始める案件であり、これ以上のコメントは差し控えたい」


東京新聞



東京新聞 朝刊 19980512 首都版 020頁 1239字
そこが聞きたい 交通事故処分のあり方と、遺族への情報開示を問う 「隼ちゃん事件の会」を結成した 片山徒有・章代さん夫妻 容疑者不起訴は不当と訴え 街頭で署名活動

 「轢き逃げ犯を、なぜ不起訴にしたのですか」――。世田谷区砧一の片山徒有さん(41)、章代さん(37)夫妻がこのほど、友人や弁護士、ジャーナリストらと「隼ちゃん事件の会」を結成した。隼(しゅん)ちゃんとは、昨年十一月に交通事故で亡くなった息子=当時八歳=の名前だ。逮捕された容疑者が不起訴となった点に加え、その理由がまったく遺族に知らされないことに疑問を感じ、「不起訴は不当」と訴えるための署名活動などを行っている。片山さん夫妻に活動の内容と、事件のもつ意味を聞いた。

 (聞き手 三品信)
  ■これまでの経過を教えてください
 隼は十一月二十八日、青信号で横断歩道を渡る途中、横断歩道にはみ出して止まっていたダンプカーが動き出したためひかれて死にました。大きなタイヤに頭をひかれ、私たちは顔を見ることもできませんでした。
 現場から車で逃げた運転手は、業務上過失致死と道交法違反(轢き逃げ)の疑いで逮捕されました。でも「事故には気がつかなかった」と、轢き逃げの容疑は認めず、結局、検察はどちらの容疑も不起訴としました。
 その理由を聞きに行ったのですが、「説明する義務はない」と言われるばかりで、全く取り合ってもらえません。弁護士に行ってもらっても同じでした。加害者や捜査担当者と会って感じたのは、人間の死がまるでブロック塀か何かを壊したような扱いをされているという悔しさです。
  ■起訴するべきでない理由があったのでしょうか
 それを私たちが一番知りたいのです。私たちが事件後、現場で一カ月ほど目撃者を捜したところ、「隼君は確かに青信号で渡っていた」「あまりにひどい事故」と証言してくれる人にも四人会えました。
 個人を責める気持ちはありませんが、この運転手は私たちに「無線連絡に気を取られて、安全確認を怠った」と話しています。後続のバイクが窓をたたいたり、対向車がライトを点滅させたりして事故を伝えたのに、そのまま走り去ったことも警察の捜査などでも分かりました。
 プロのドライバーがこんなルール無視をしても罪に問われないのなら、日本の警察や検察は一体だれのために、何のために仕事をしているのでしょう。疑問でなりません。
  ■会ではどのような活動を
 「不起訴は不当」と訴えるため、街頭での呼びかけやファクシミリを通じて三日から署名集めを始めました。もう五百人ほどのご協力をいただきました。インターネットに事故と経過を伝えるホームページを作ったところ、各地から支援のメッセージをいただいています。
 交通事故をめぐる起訴率が、検察の方針で最近は一割台になっているそうです。「何をしても隼君はもう帰ってこないのだから」とアドバイスしてくれる方もいますが、交通事故をめぐる処分のあり方や遺族への情報開示の問題点は、私たちが訴えなければ改善されないままでしょう。もう声を上げられない隼に代わって、私たちが声を上げたい

 【メモ】「隼ちゃん事件の会」への問い合わせや署名簿の請求は、ファクス専用電話03(5494)8612へ。


時事通信社

02/15 10:50 時: ◎「天国の隼君におわび」と運転手=過失責任は認否留保−小

時事通信ニュース速報

 1997年11月、東京都世田谷区の路上で起きた小学2年生の片山隼君=当時(8つ)=の交通死亡事故で、東京地検がいったん不起訴にしたものの、再捜査の結果、業務上過失致死罪で改めて起訴した男性運転手(33)の初公判が15日、東京地裁(植村立郎裁判長)で開かれた。
 運転手は「わたしが運転した車で尊い命を奪ったことは誠に申し訳ない。天国にいる隼君に心からおわび申し上げたい」と謝罪した上で、「(隼君と)どこで接触し、ひいたのか分からない」と述べ、過失があったかどうかについては認否を留保した。
弁護人は「被告は当時、事故に気付かなかった。検察側証拠では詳細がよく分からない」と留保の理由を述べた。 

[時事通信社]
[1999-02-15-10:50]