勤務の所定労働時間が10時間タクシー

 


一一−一GC00一一−一 ◎現行法規制では、1勤務の所定労働時間が10時間を超える隔勤 等ば1年単位の変形制の適用は不可能。現在中基審で適用の可 否について見直し審議中。 ◎一般の事務職員等は1年単位の変形制の活用ば可能。 ハイヤー・タクシー事業における1年単位の変形労働時間制の必要性 ハイヤー・タクシー事業(以下「ハイ・タク事業」という)における時短の取組みは、 第I部で説明したとおり、漸次、週44時間制、さらに週42時間制へとすすんできました が、平成9年4月からの週40時間制に向けた取組みはこれまで以上の努力と工夫が必要 と考えられます。あらゆる時短方法を検討しなければなりません。その1つの方法とし て従来の一律的な勤務交番だけでなく、1車2人制、2車3人制等の基本的な勤務シフ トを踏まえつつ、需要に曜日変動、季節変動がありますから、こうした状況をよくみて、 特別休日制を取り入れる等、弾力的な労働時間制の設定がどうしても必要となってきま す。このことは、平成7年3月の東京の運賃改定に当たって、運輸省が強く指導してい る輸送効率向上のための曜日、季節変動への対応指導にもマッチするものと思います。 こうした取組みが、年間を通じての時短に繋がるものであり、これがまさに新しく導入 された1年単位の変形労働時間制の趣旨に沿うものだろうと思います。この制度の活用 が今後の時短の取組みを進めるための大きなポイントになると思われます。 しかしながら、ハイ・タク事業でこの制度の活用を不可能にしている大きな壁があり ます。それは後で述べる1年単位の変形労働時間制の要件の1つであるl日の労働時間 の上限規制です。 それは、労働基準法施行規則(以下「法施行規則」という)の12条の4に「1日の労 働時間の限度は変形期間が3箇月以内の場合にあっては10時間、3箇月を超える場合に あっては9時間とする」と規定されている点です。この規制が問題になるところです。 ハイ・タク事業が採用している1車2人制の隔日勤務、2車3人制等の日勤勤務は、 通常の8時間制を基準とした勤務形態とは違って、特殊な変則的勤務です。これらの勤 務のl日の所定労働時間は、隔日勤務の16時間をはじめとして、日勤勤務の場合も、l 勤務の所定労働時間を10時間を超えて設定している労働日もありますから、現行の実態 では、上記の1日の労働時間の上限とされている10時間または9時間に抵触することに なるわけです。したがって、現行制度を前提とする限り、隔日勤務等1日の所定労働時 間が10時間を超える勤務が設定されていれば、1年単位の変形労働時間制の採用は不可 能ということになりますので、ハイ・タク乗務員についてはこの制度は採用できないと されているところです。 改正前の3簡月単位の変形労働時問制の場合にも、l日の労働時間の限度が10時間と 規定されていましたから、3箇月以内の一定の期間を単位とする変形労働時間制につい ても、前述の理由により今まで採用されている例はありません。 週40時間制に対応するものとして新しく導入されたl年単位の変形労働時間制という 弾力的な労働時間制度が、1日の限度時間の問題だけから適用できないのでは、ハイ・ タク事業における特殊性からみて問題があります。そこで、ハイ・タク業界としては、 労働省に対し、ハイ・タク事業における特殊な勤務について、l日の労働時間の上限規 制について特別の取扱いがなされるよう強く要望しているところです。現在、労働省・ 中央労働基準審議会の自動車運転者労働時間問題小委員会で、業界の要望をふまえ、こ の問題について検討が行われています。平成7年度中に結論が出されるでしょう。 21年単位の変形労働時間制の対象にできる労働者 l日の労働時間が10時間または9時間以内に定められている徒業員は誰でもl年単位 の変形労働時間制を採用できるか、という問題があります。 l年単位の変形労働時間制の対象にできる労働者は、労働時間の限度時間等を含めて、 それぞれ定めてある要件に該当すれば、誰でも対象にできます。したがって、乗務員に ついても、日勤勤務の所定労働時間の定めがl日の限度時間以内であれば1年単位の変 形労働時間制を採用することができます。一般事務、技工についても、通常の労働日の 所定労働時間は8時間以内に設定されているでしょうから、当然に適用が可能です。 lつの事業場の中で、職種ごとに労働時間制の形態が異なっていても差し支えありま せん。後述の1年単位の変形労働時間制の要件を十分に検討され、職種ごとに有効な労 働時間制を採用されることをおすすめします。 31年単位の変形労働時間制の要件(法第32条の4) 本制度のポイント ○季節的な繁閑がある業務については、年間単位の労働時間管理の下に、閑散 な時期に集中して休日を設定する等により、年間単位での休日増をはかり、週 40時間制を実現して、総労働時間の短縮をしようとする制度であること。 ○制度実施に当たっては労使協定を締結し、所轄労働基準監督署長に届け出な ければならないこと。 ○週平均の労働時間は、11箇月単位の変形制の場合と異なり、1年以内の一定 の期間(変形期間)を平均し、l週間当たりの労働時間が40時間以下(猶予対 象事業であって規模100人以下の場合は42時間以下)に定めることが必要とな ること。 ○変形期間が3カ月を超える場合は、l日9時間、1週間48時間以内、週1日 の休日確保、変形期間が3カ月以内の場合は、l日10時間、1週52時間以内、 週1日の休日確保という上限が設けられていること。 @要件 1年単位の変形労働時間制を採用する場合には、 A労使協定を締結し、 E対象労働者の範囲を定め、 E変形期間を1年以内とし、 E変形期間を平均して1週40時間(規模100人以下は42時間)を超えない所定労 働時間の総枠の範囲で、 E変形期間が3カ月を超える場合は、1日9時間、1週48時間以内、変形期間が 3カ月以内の場合は、1日10時間、1週52時間以内、かつ、いずれの期間とも週 1日の休日確保という条件を満たすように、 @変形期間内の労働日、労働日ごとの所定労働時間を特定するとともに、 GEの時間を超えて労働させた場合には割増賃金を支払う旨を定め、 E協定の有効期間を定め、 @当該労使協定を所轄労働基準監督署長に届け出ることが必要、 となります。 イ.労使協定の締結 1年単位の変形労働時間制を採用する場合、当該事業場に労働者の過半数で組 織する労働組合がある場合にはその組合、そのような労働組合がない場合には労 働者の過半数を代表する者と書面による協定を締結することが必要です。 ロ書対象労働者 1年単位の変形労働時間制を採用する場合には、労使協定において、制度の適 用を受ける対象労働者の範囲をできる限り明確に定める必要があります。対象労 働者は、事業場の全労働者についてではなく、特定の職種だけ、特定のグループ だけ、特定の労働者だけといったように労使協定においてその対象を限定して適 用させることも差し支えありません。 この対象労働者は、1年単位の変形労働時間制による期間の初日から末日まで の間に在籍している者に限られます。このため、変形期間に入ってから採用され た労働者や変形期間の途中で労働契約期間が満了したり、定年により退職するこ とが予定されている労働者は含まれません。・これを図示すると次のようになりま す。 【参考】初末前末 日 日の日日 この図で、■は雇入れの日、●は離職の日(法文でいう使用期間の満了の日)、○は1年単 位の変形労働時間制の対象とすることができる労働者、×は対象とすることができない労働者 をそれぞれ示す。また、−‐一はその間、雇用が継続していることを示す。 ハ.変形期間 変形期間は1年以内とされており、1年単位の期間であれぱどのような期間で も構いません。1カ月については従来の1箇月単位の変形労働時間制(法第32条 の2)がありますから、実際には1箇月を超え1年以内の期間ということになり ます。ハイ・タク事業では、現に3カ月単位の変形制を採用したいとする要望も 一部にありますが、もちろん差し支えないですし、4カ月でも6カ月でも10カ月 例<−−−−−一一変形期間 1一一一一一一一一l−−−−−−−−−一一一一一−−−−−一一一一一一÷−−一一一一1−一一一○ 2一一−一一l X 3−−−−−−−−一× 4一一一一一一一一一…O 5届一一一一一一一一一一一一一一一一一一一三●× 6一l X 7…O 8ー−−−−−−−トー一一O 9l■−−−−一一一一一一一一一一H●× 10■一一一一一一一一一一一一一一一一一一;× ll■トー−−−−一一一一一一一一一一一一一一一× 12■一一一一一一一一一一一一一一一一一一…−一一一× でも可能です。 なお、法施行規則第12朱の2で、労使協定等により変形期間の起算日を明らか にすることとされていますので、変形期間の長さとともに、その起算日も明らか にする必要があります。 二.変形期間における所定労働時間の総枠 l年単位の変形労働時間制を採用する場合には、労使協定で各日、各週の労働 時間を定めることになりますが、それを合計した時間は、次の式によって計算さ れる所定労働時間の総枠の範囲でなければなりません。 変形期間の暦日数 40×ー・……・…・(a) 7 なお、猶予対象事業場で規模100人以下であれば所定労働時間の総枠は、当面、 次の式によって計算されることになっています。 変形期間の暦日数 42×ー・……・…・(b) 7 上記(a)、(b)の算式によって、変形期間において所定労働時間として設定できる 労働時間の総枠を計算すると、次の表のようになります。 所定労働時間の総枠 変形期間猶予対象事業場のうち 左以外の事業場 規模100人以下のもの 1年(365日)2,190時間2,085.7時間 6カ月(183日)l,098時間l,045.7時間 4カ月(122日)732時問697.1時問 3カ月(92日)552時間l 525.7時間 (注)端数はそのままとするか、切っ捨てる必要がある。 ホ.労働時間・労働日数の限度 労使協定で定める各目の所定労働時間は、変形期間が3カ月を超える場合は、 「1日9時間」を超えてはならず、各週の所定労働時間は「1週48時間」を超え ることはできません。また、変形期間が3カ月以内の場合は、「l日10時間」を 超えてはならず、各週の所定労働時間は「1週52時間」を超えることはできませ ん。 さらにいずれの場合も、労使協定で定める労働日は「1週間に1日の休日」が 確保されるようにしなければなりません。 ヘ.労働時間の特定 1年単位の変形労働時間制を採用する場合には、労使協定により、変形期間に おける労働日と労働日ごとの所定労働時間を具体的に特定しなければなりません。 もっとも、1年間のうち労働日を協定に列挙するのは面倒だから、休日を特定し、 労働日はそれ以外の日とする定め方が合理的といえましょう。 ハイ・タク事業の乗務員の場合、労働日の所定労働時間が一律すべて同時間で あれば、労働日ごとの所定労働時間については単に「○時間」と定めれば簡単に すみます。一般職員の場合でも同様です。しかしながら、日勤勤務等で各労働日 における所定労働時間が同じ時間でなく、各日によって異なるものであれば、各 労働日ごとに所定労働時間を記載しておかなければなりませんので、変形期間が 長期間になるほどいちいち記載するのは大変なこととなります。 このように労働日と労働日ごとの所定労働時間の特定が必要ですから、業務の 性質上あらかじめ各日、各週の所定労働時間を特定することが困難な業務や労使 協定で定めた時間をしばしぱ業務の都合によって変更しなければならないような 業務では、この制度を採用することはできません。 なお、l年単位の変形制で、当該変形期間を3カ月以上の期間ごとに区分した 場合は、変形期間における労働日と、各期間のうちの最初の期間についての労働 日ごとの所定労働時間と残りの期間における総所定労働時間を特定すれば足りる ことになっています。これを図示すると次のようになります。ただし、この場合、 残りの各期間における労働日ごとの所定労働時間は、あらかじめ定めた総所定労 働時間の範囲内で各期間の初日の少なくとも30日前までに、過半数労働組合また は労働者の過半数代表者の同意を得て、書面で定めなけれぱなりません。 変形期間二1年(40時間/l週間) 3カ月3カ月3カ月3カ月 初:: 日 最初の期間 ト.割増賃金支払いの定め 猶予対象事業の場合は、平成9年3月31日までは、法定労働時間は週44時間 制が決められていますが、1年単位の変形労働時間制を採用する場合には、法定 内であっても、「1週間当たりの労働時間が40時間を超えた場合は割増賃金を支 払う」旨を定めるとともに、現実にこれを超えて労働させた場合には割増賃金を 支払わなければなりません。 ただし、猶予対象事業のうち、規模100人以下の事業については、「対象期間を 平均しl週間当たり42時間」まで認められていますので、これらの事業において は「42時間を超えた場合は割増賃金を支払う」旨定めればよいことになります。 チ.有効期間 労使協定は、その有効期間の定めをしなければなりません。有効期間は、3年 程度までは差し支えないとされていますが、労使協定は通常1年ごとに結ぶこと が多いと考えられますので、有効期間も1年程度ということになります。 リ.労使協定の届出 労使協定は、所定の様式(様式第4号)によって、所轄労働基準監督署長に届 け出なければなりません。 【参考】1年単位の変形労働時間制の要件(1筒月単位の変形労働時間制との比較) A制度を採用した場合の時間外労働の算定 1年単位の変形労働時間制を採用した場合には、労使協定に定めたところによっ て、1日またはl週間の法定労働時間を超えて労働させることができます。 この制度を採用している場合に時間外労働となるのは、基本的には1筒月単位の 変形労働時間制の場合と同様です。すなわち、E1日、E1週、E変形期間(最長 1年)の3つについて、就業規則等で定めた所定労働時間と、実際の実労働時間と を比べて次のように算定します。 C1日については、労使協定により8時間を超える時間を定めた日はその時間、 それ以外の日は8時間を超えて労働した時間 E1週間については、労使協定により40時間を超える時間を定めた週はその時 間、それ以外の週は40時間を超えて労働した時間(@で時間外労働となる時間 を除く) E変形期間については、次の式によって計算される変形期間における法定労働 1箇月単位の 区分二j註こョj‡二∵11ご:1年単位の変形労働時間制 変形労働時間制 規則・協定就業規則で決めるl労使協定が必要(様式第4号で所轄 労働基準監督箸長に届け出る) 就業規則にも定める 適用対象の制限特になし変形期間の全体について雇用する者 に限定(変更期間の一部だけ勤務す る者は適用されない) 変形期間と総所最長lカ月最長l年 定労働時間週平均が法定労働時間週平均が40時間以内(規模100人以 以内になるように設定1下は42時間以内)になるように設定 する1する 1日・1週の特になし3カ月以内1日10時間 上限1週52時間 3カ月超1日9時間 l週48時間 休日1週l日または4週41週l日の休日が必要 日必要 時間の総枠を超えて労働した時間(@またはAで時間外労働となる時間を除 く) 変形期間の暦日数 40× 7 以上に該当する場合には、法律上の時間外労働となりますので、三六協定の締結、 割増賃金の支払いが必要となりますが、ハイ・タク事業のような法定労働時間の猶 予対象事業は、規模100人以下の事業場では、前記ト.にあるように、週の労働時 間が42時間を超える場合に、割増賃金の支払いが必要となります。 B途中離脱者の賃金の清算 解任、任意退職、配置転換等により、変形期間途中に対象労働者に該当しなくな った場合において、これが生じた期間によっては、全期間就労した労働者等との均 衡上の清算(再計算)が必要となる場合が生じることも考えられます。 なぜなら、l年単位の変形制は、その変形期間の全期間を通じての労働時間を平 均して、l週間当たり40時間(42時間)を超えないということが、当該変形制を採 用するための条件であるため、変形期間の途中で対象労働者に該当しなくなった場 合にはその条件を満たさなくなるので、当該変形制はもはや適用することはできま せん。したがって、労働時間の取扱いはその変形制が適用されていなかったものと して、当然原則にもどります。この場合、・変形期間の開始日からのすべての労働時 間についてl日8時間、1週40時問(猶予業種44時間)という一般的な労働時間制 度にしたがって算定し直し、賃金の過不足を清算する必要が出てきます。そこで、 このような場合の賃金清算方法について、労働省は、1年単位の変形労働時間制の ガイドラインにおいて、「労使協定の法定の記載事項とはなっていないが、労使間 において通切に清算が行われるよう、賃金の清算の事由及ぴ方法について労使協定 において事前に定めておくことが望ましいものであること」としています。 C1年単位の変形労働時間制の事例 前述のとおり、ハイ・タク事業における隔日勤務等に従事する乗務員についての 本制度の活用は、現制度では、1日の労働時間の上限規制もあって採用が不可能な ため、1年単位の変形労働時間制の事例については紹介することはできません。中 英労働基準審議全における検討の結果を得て可能となれば、あらためて事例を解説 することとします。 1日の所定労働時問が10時間(9時間)以内に設定されている勤務時間の定めの 従業員については、l年単位の変形労働時間制が採用できることについては前述の とおりですが、1年単位の変形労働時間制となりますと、その事例は多種多様とな ります。l年単位の変形労働時間制に基本例というものはありませんが、簡単な具 体的事例として次のようなものがあります。 ◎1日8時間の所定労働時間で1年単位の変形労働時間制を採用し、週40時間を クリアーするためには、年間休日を105日以上としなけれぱなりません。就業規 則に起算日を定め、休日は年間カレンダーなどで定めるのがよいでしょう。 1年間は52週ですから、週2日の休日を設ければ年間休日104日となり、もう 1日で年間休日105日をクリアーすることとなりますが、年末年始の連休や夏期 連休、ゴールデン・ウィークなどを利用して年間105日(後述の年間休日日数を 参照)以上を確保することも可能です。 また、繁忙期と閑散期の差が激しい業種においては、閑散期に集中して休日を 設ける方法などもありますが、前述の11国、1週間の限度時間や連続して労働さ せる日数の限度などに注意する必要があります。 ◎1日8時間で1年単位の変形制の場合 ・一≪就業規則規定例≫………・…‐…‐‐‐……‐, (労働時間および休憩時間)i 第○条毎年4月1日を起算日とする1年単位の変形労働時間制を採用する。届 1日の労働時間は8時間とし、始業・終業の時刻およぴ休憩時間は次の ● とおりとする。 ; 始業時刻:午前8時終業時刻:午後5時: 休憩時間:正午から午後1時 (休日)届 第○条休日は、1週間の労働時間が1年を平均して40時間以下となるよう労届 使協定で定める年間カレンダーによるものとする。i ●■●■●■■■■■一■■■●‘●●一一■■‐●1一●‐●●●■●■■■■一,●‘,●●●■■■■■」 【参考】通40時r日1制を実施するための年間休日日数